◆朝日新聞の社説「十分な調査は可能なのか」
朝日新聞の6月16日の紙面で「ジャニーズ 十分な調査 可能なのか」という社説が出ました。
かなり本質的なことを言っていましたね。「経営陣が沈黙する一方で、矢面に立っているのが所属するタレントたちだ」と。タレントファーストという視点で、そこは僕も非常に共感を覚えました。
特別チームは意義のある調査ができるのか、ということを朝日新聞も言っています。そして、「(一般的な)手順を踏まないまま特別チームに検証を丸投げしただけでは、納得がえられるはずはない。性犯罪対策をどう強化するか、政府も検討を始める事態になっている。ジャニーズ事務所に記者会見を開くことをあらためて求める」と締めくくっています。まるで、ひと月前と同じことを、また口にしているようですが。
◆「文春」側弁護士も会見
一方、ジャニー喜多川さんによる性加害問題を報じ、喜多川さんとジャニーズ事務所から名誉棄損で訴えられた裁判で、文藝春秋側の代理人を務めた喜田村洋一弁護士が6月14日、日本記者クラブで会見しました。
文春とジャニーズとは20年以上前に裁判で争って、文春側が勝っています。この会見、ちょっと長いですが大変見応え、聞き応えがある内容です。YouTubeで公開されています。
◆TBSテレビ『報道特集』がメディアの責任に言及
そして何と言っても決定的だったのは、6月17日のTBSテレビ『報道特集』です。僕はかなりのインパクトを受けました。メディアの責任に言及し、TBSも含めて日本のほとんどのメディアが、先述した文春との裁判を報じなかった反省が強くにじみ出ていました。
テレビも新聞も「ジャニーズとずっと仕事をしたいから、そういうことを報じるのはやめてくれよ」というような声が社内にあることを生々しく語っていました。
雑誌の元編集長でフリージャーナリストの浜田敬子さんが、この番組のインタビューで「編集長時代に自らが関わった雑誌で、企画会議や編集部でジャニーズの性加害問題が大きな議論になったという記憶がない」と話していました。
なぜ大きな議論をしなかったのかを考えると、一つには男性に対する性加害の知識が少なく、軽視していたこと。これが女性だったら、あるいは異性間のことだったら話は違ったのかもしれません。
もう一つは、芸能界のできごとということで、裁判の結果でさえ大きな問題として報じなかったこと。つまり、「問題とか事件というよりも、ゴシップ的に見ていた」という、自分たちの報じる姿勢に甘い部分があったのではないか、という反省を述べていました。
それと、ジャニーズタレントが起用されるカレンダーを大手出版社が持ち回りで作っていて、そのことによる言論封殺があるとも触れていました。自社メディアではジャニーズのスキャンダルは扱わないという不文律があったことにも踏み込んでいます。
結構、僕にはショッキングとも言えるインタビューで、この『報道特集』もTVerで見られるので、確かめてみてください。
きょうの結論としては「やっぱり、改めて膿を出しましょうよ」ということです。1か月前と同じことをまた言いますが、そうしないと、才能のある若い人たちが、僕の愛するこのエンターテインメントビジネスに、もう寄ってこなくなるのではないでしょうか。大変、危惧しています。