財政難の中、豪華すぎるとして批判を浴びた京都市役所で一般開放に向けた試験が始まりました。

昭和前期に建設された京都市役所の本庁舎は、約159億円の費用がかけられて、おととしにリニューアル工事が完了しました。

リニューアル工事では議場にヨーロッパの宮殿で用いられる織物を直接壁に張る「緞子張り」という伝統工法を採用。

「千年の光」と名づけられたエレベーター扉には、「歴史都市・京都」にふさわしい日本の伝統文化が感じられるようにと扉を漆や蒔絵を施したものに取り換えました。費用は、約500万円だということです。

さらには、来賓をもてなすための「茶室」が約3600万円をかけて設置されたほか、100年前の建設当時にあった部屋を復元した「正庁の間」など豪華な作りが特徴です。

一方で、京都市はおととし破綻を意味する「財政再生団体」に転落する危機が叫ばれ、地下鉄や市バスの敬老パスの対象年齢の引き上げといった住民サービスのカットを余儀なくされる「財政難」ともあってその必要性が市民からの批判を集めていました。

こうした中、ほとんどの施設が市民には開放されておらず「茶室」に設置されたお茶用の設備はこれまで一度も使われていないことから市は市役所一部施設の一般公開の検討をスタート。

そして、6月20日、市民への一般開放に向けた試験が始まりました。

今回の試験は6月20日の1日限定で事前申し込みや費用は不要、「議場」「正庁の間」「茶室」が対象です。

市は今後、試験の結果を踏まえ一般開放を定期開催するのかさらに検討を進める構えです。また、茶室ではすでに今年の秋ごろ「市民大茶会」の開催が予定されているということです。

京都市は「文化発信のためより多くの市民に開かれた市役所にしたい」としています。