17日開幕する東北絆まつりで青森を代表して出陣する大型ねぶた。手がけたのは新人ねぶた師・福士裕朗さんです。デビュー作を作り上げるまでの試行錯誤の日々、そして、その思いとは…。
台上げが進むにつれて姿を現す勇壮な大型ねぶた。青森市役所ねぶた実行委員会「~主従の絆~牛若丸と弁慶」です。手がけたのは新人ねぶた師・福士裕朗さん41歳です。

初めての大型ねぶたの制作は、試行錯誤の日々でした。
※福士裕朗さん
「感覚は乱れます。慣れていくしかない」

五所川原市出身の福士さんはもともと、大型立佞武多の製作者として活躍してきました。2012年に30歳でデビューしてから3台の作品を発表。高さは約23メートル、天を突くような巨大な佞武多で観客を圧倒しました。

そして迎えた今年、福士さんに舞い込んだのは五所川原立佞武多ではなく青森ねぶたの制作依頼でした。大きさはまったく異なるため、骨組みを組むのに一苦労。作り直すこともあったといいます。
※福士裕朗さん
「(牛若丸は)最初はこの顔だったけど、この顔では身体が大きくなって、牛若丸が飛んでいる感じがでなくなるので、15センチくらい小さくして新しいのに変えました。可能な限り直して、納得いく形にもっていけるようにしたい」

制作は時間との戦いでもありました。
福士さんの職場は五所川原市内にあるため、平日は仕事終わりに片道1時間かけてねぶた小屋へ通います。この移動時間の遅れを取り戻すため、連日、午後11時過ぎまで制作しました。体力的に厳しい日々、福士さんも思わず…。

※あくびする福士さん
「だんだんきつくなります。眠くなってきます。苦しさも楽しみながら、ようやく作れることになったので、その瞬間を楽しむことに全力を注ぎたい」
子供の時からいつかは作ってみたいと憧れてきた青森ねぶた。制作が大詰めを迎えた6月上旬、筆を持つ手に神経をとぎすませながら弁慶の表情を描き、ねぶたに命を吹きこみます。

※福士裕朗さん
「1本・2本はいい線だなというのはあると思うけど、主従の絆が芽生えた場面を見てもらって、一瞬でいろんなことを考えさせられる、ねぶた本体でも祭でもあってほしい」
デビュー作は、青森ねぶた祭の前に17日開幕する東北絆まつりにも出陣。青森を代表して伝統文化の魅力を発信する大役を担います。

※福士裕朗さん
「一生懸命作ったので、皆さんに評価してもらえると期待しています。青森の宝物である状況が末永く続くことに寄与できるように、制作を心がけていきたい」

福士さんが精魂込めて作り上げたねぶたは、勇壮で鮮やかな輝きを放ちながら初陣へ臨みます。






