6月2日の記録的な大雨で、愛知県の農作物被害は12億円を超えました。

大量の泥水で変わり果てた農作物、深刻な被害を受けた現場は、今…。


(トマト農家 平尾晃及さん)
「10割ですね。全滅ですね。頭が真っ白になった」

まだ熟していない青いトマトが並ぶ、愛知県豊川市のトマト農家・平尾晃及さんのハウス。


茶色く染まりしおれた葉っぱからは、大量の泥水に浸かったことがはっきりとわかります。

6月2日、東海地方を襲った記録的な豪雨。

豊川市では川がはん濫し、各地で浸水被害が発生しました。

平尾さんが所有する約700坪のハウスはトマトも機械も水に浸かり、被害額はわからないといいます。

(トマト農家 平尾晃及さん)
「今まで通り農業ができるのかわからない状態だった。『やめないといけないのかな』とずっと考えていた」

機械には無事だったものもあり、今は前に進むしかないという気持ちで、一から栽培をやり直すということです。


豊川市は全国有数のバラの産地。

(バラ農家 佐久間栄次さん)
「大打撃ですね。2メートルくらい水が来た。こんなことは初めて」

佐久間栄次さんのバラ園も高さ2メートル近くまで浸水し、普段ならこの時期出荷予定のバラが半分以上も被害に。

(バラ農家 佐久間栄次さん)
「10年に1度の間隔で(大雨)は来るが、(水位)は(地面に近い)この辺とか…」


これまでにない雨だったと話し、蒸し暑さの中でハウスの片付けに今も追われています。

(バラ農家 佐久間栄次さん)
「被害に遭って次の週にボランティア団体が手伝いに来てくれた。だめになった作物を外に出す作業を手伝ってくれて、本当に助かっています」

更地のようになったハウス。

被害額は2000万円以上ということで、被害を免れたハウスのバラの出荷など、今はやれることを続けていくと話しています。


愛知県によると6月2日からの大雨による野菜の被害額は約11億円。

中でも愛知が全国シェアの6割を占める大葉は最も被害が大きく、被害額は約9億3000万円に上るということです。

大葉の畑を案内してもらいました。


ハウスには水に浸かった跡がはっきりと。

(地元の大葉農家)
「これでも水で3、4回洗い流したが、どうしても(泥が)残っちゃって。泥水に浸かった所は枯れていってしまうので。こういう所が増えてきたら植え直し」

ハウスでは連日、液体の肥料を混ぜた水で葉についた泥を落とし、枯れた大葉を機械で刈り取って処分する作業が続いています。


(地元の大葉農家)
「これから暑くなってくると需要期なので大打撃です」

大雨シーズンは、まだ始まったばかり。

被害からの立ち直りと今後の対策の両方に迫られています。