見えてきた避難民の方の本音
実際にスマチノーゴで働くウクライナ避難民のスタッフの方とお話をすることができました。首都キーウから避難して来た、ルバさん。ウクライナで日本語の勉強をしていたそうで、通訳を介さずお話を聞くことができました。ルバさんは子供達と日本に来たということですが、両親や妹とその子どもは今もウクライナにいます。家族とは毎日連絡をとっているそうで、どんなことを話しているのか聞きました。
――家族とは、日本での生活について話すのでしょうか?
避難民のルバさん
「もちろん知ってる、私がここで仕事していること」
――なんて言っていますか?
避難民のルバさん
「家族は嬉しいと。でも体をいつも気を付けて下さいと言われる。働きすぎ、と。でも大丈夫、大丈夫。全然、なんか苦しいとか厳しいとかあんまりない」
家族はルバさんが仕事を頑張りすぎていないか心配なようですが、ルバさん自身はお店で働くことは苦ではない様子。ただ、話を聞いていくうちに、本音も見えてきました。
避難民のルバさん
「日本は遠い、あと(飛行機の)切符はけっこう高いから、一年以上家族と会えていないから…やっぱり…」

家族と一年以上会えていないことが辛いと、話して下さいました。ルバさんのお話を聞いて、ここで働くスタッフそれぞれが抱えるこうした厳しい悩みがあるという現実は確かにあるんだと感じました。
『スマチノーゴ』オーナー TAKANEさん
「ウクライナの人たちに、何かしてあげたいと思っても何をすればいいか分からないと思っている方が多い。そういう人たちが避難民と気軽に接することができる空間を作りたかったこともレストランを開店した理由です」
お客さんの感想は

さて、私が今回取材でお店を訪ねたのは、平日のランチタイムの時間帯。まさに避難民のスタッフと交流をしたい人や、ウクライナ料理に興味のあるお客さんも多くいらしていました。そこで二人組のお客さんに料理の感想を聞くことができました。
男性のお客さん
「私はキーウ風カツレツ丼と、彼女がウクライナ風ロールキャベツですね。もう正直、もう一回来ようかなと思ったくらい美味しかったです。私もちょっとウクライナ行ったことあるんですけれど、日本風にアレンジしているのですごい食べやすくて結構お気に入りになりました」
女性のお客さん
「ロールキャベツとても美味しかったです。私はアルメニア人なんですけれど、けっこうウクライナ料理が好きで、なんかいい感じです」
ロールキャベツの味の感想を聞いたこのアルメニア人の女性ですが、実はアルメニア経由で避難をしたウクライナ人も多かったそうでウクライナ避難民のスタッフとそうした話をして心を寄せ合うことができた、とも話してくださいました。まさに、支援の第一歩がレストランに料理を食べに来てかなった形ですね。

本当の目標は「閉店」
評判のいいお店ですが、オーナーのTAKANEさんはレストランの今後についてこう語ります。
『スマチノーゴ』オーナー TAKANEさん
「戦争が一段落して停戦なり終戦なりになればお店は閉める」
ロシア軍のウクライナ侵攻が終わり、このレストランを開く必要が無くなることが本当の願いだということです。是非、支援のアクションの第一歩としてスマチノーゴに足を運んでみてください。

(担当:TBSラジオ「人権TODAY」担当・TBSラジオキャスター 加藤奈央)