「デジタル地域通貨」という言葉をご存じでしょうか?
「インターネットを通じて、特定の地域内などで利用するお金」のことで、地域活性化が期待できるほか、スマートフォンの普及で導入しやすくなったこともあって、各地で取り組みが始まっています。
そんな中、岡山県真庭市で今年から試験運用が始まった「まにこいん」とは?

(秋庭貴泰記者 リポート)
「このように、アプリをダウンロードしたスマホを使って買い物をします」

真庭市が、今年1月からテスト運用を始めたデジタル地域通貨「まにこいん」です。市内8カ所に設置されたチャージ機で、1円から購入することができます。

現在、真庭市内のおよそ180の店で利用できます。「まにこいん」で買い物をすると、1パーセントのポイント還元が受けられます。

(真庭市総合政策課 田島吉章主任)
「地域の中でお金をまわして、地域を元気にしていくという発想です」
4月からは、地域通貨で全国初となる「固定資産税」や「自動車税」などの納付にも対応。納付書のQRコードをアプリで読み込めば、どこでも納付できるといいます。
(真庭市総合政策課 田島吉章主任)
「独自のよさというものを出していこうと思っておりまして、住民により密着した便利さを追求していきたいと思っております」

真庭市では、今後歩数に応じてポイントが付与される「健康ポイント」など、住民に役立つサービスを検討していて、利用者の反応は上々でした。

(「まにこいん」を利用する市民)
「必ずポイントもいただけますし、つい先日は軽自動車の税金は『まにぃ』で払いましたし、非常に便利です」
ところが、加盟店からは意外な反応が。


(旬の蔵デジーナ・石川佳奈さん)
「そこまで普及が進んでいないのが現状で…」
運用開始から半年。取り組みは課題に直面しています。「まにこいん」は、真庭市が加盟店から売り上げの0.5パーセントを徴収しシステムを運用しているため、利用者が増えなければ今後、サービスの維持が厳しくなるといいます。現在の利用者はおよそ3000人で2026年までに2万人の利用を目指していますが。

(真庭市総合政策課 田島吉章主任)
「ご年配の方が多いというところで、スマートフォンに疎い方も一定数おられる」

利用者が増えなければ、地域経済の刺激や利便性向上のメリットが活かせない「まにこいん」。真庭市は、今後利用拡大に向けて、効果的な施策を取り入れたいとしています。
【解説】
デジタル地域通貨は、住民に地元でお金を使ってもらうことで地域経済を活性化でき、また住民にメリットのある特典や住民サービスの手続きが簡略化できるなど、
・地域経済の活性化
・市民の利便性向上
・行政の業務効率化
とまさに三方良しの通貨なんです。
ただ、まだまだテスト段階で、真庭市では今年20%ポイント還元のキャンペーンを行いましたが、期間が終わると新規利用者の伸びが鈍化。地域全体への利用拡大とは言えない状況なんです。
真庭市の担当者は、「ポイント還元を増やせば利用者は増えるが、財政を圧迫するためその判断が難しい」と話しています。今後真庭市では、高齢者のスマホ教室を開き、参加者にポイントを進呈し普及を図りたいとしていて、デジタル地域通貨が市内の消費拡大の起爆剤となれるか注目です。