軽井沢スキーバス事故の裁判の最大の争点は、「事故を予見できたかどうか」でしたが、どういったことが判決のポイントになったのでしょうか。
裁判を取材した司法担当の井上記者の解説です。
予見できたかどうかを判断するためには、事故の原因を明らかにする必要があります。

(1)運転手の技量と事故の原因
検察は、「運転手は大型バスの運転技量が不足していて、シフトレバーやブレーキの操作ミスが事故の原因」としていました。
一方、弁護側は、「運転手の技量は未熟ではなく、ブレーキを踏まなかったことが原因」と主張していました。
長野地方裁判所は検察の主張を認め、「事故の原因は運転手の技量不足による」と認定しました。

(2)安全管理と事故との因果関係
技量不足による操作ミスが原因とのことですが、会社の安全管理と事故にはどのような因果関係があったのでしょうか。
両被告の責任について検察側は「両被告は運転手が、大型バスの運転に慣れていないことを知りながら、技量の確認や十分な訓練を行わなかったため、事故は発生した」と指摘していました。
これに対し、弁護側は、「ブレーキを踏まないことを見抜くことは不可能で、技量の確認が不十分だったとしても事故とは関係がない」と反論していました。
この点に関しても裁判所は検察の主張を認め、バスを安全に運行させるための訓練を十分にせず、ツアーに従事させたため事故が起きたと判断しました。

裁判所は以上の点から、高橋被告は、運行管理者である荒井被告を指導監督していなかったという点で、過失が大きいとして禁錮3年に。
荒井被告は、運行管理者であるにも関わらず、適切な安全管理を怠ったという点で、厳しく非難されるべきとして禁錮4年の判決を下しました。














