再審=裁判のやり直しが決まったいわゆる袴田事件。袴田巖さんの姉、ひで子さんや弁護団が6月6日、東京で行われた集会で、長期化の要因となっている検察官の不服申し立てを法律で禁止するべきなどの再審法の改正を訴えました。

都内の衆議院第二議員会館で行われたのは、日弁連が主催する再審の手続きについて法律の改正を訴える集会。集会では賛同する弁護士や国会議員らが参加し、いまの法律が冤罪を救済するための制度になっていないなどと批判しました。

静岡県内でも、長きにわたって冤罪が疑われてきたのが、いわゆる袴田事件。1966年に旧清水市で一家家4人が殺害された事件で逮捕された袴田巖さんは、死刑が確定しました。

袴田さんをめぐっては2023年3月、東京高裁の決定で、再審=裁判のやり直しが確定していますが、最初の再審の申し立てからすでに42年が経っています。

<袴田巖さんの姉 ひで子さん>
「弟は大変苦労してやっと社会に戻ってまいりました。でも、まだボケっとしておりまして、何が何だか分からないという状況です」

6日の集会では、袴田事件の審理が長期化したことを受け、裁判所が一度、裁判のやり直しを認めた際には検察の不服申し立てを法律で禁止することなどを求めました。

一方で、袴田巖さんをめぐっては、裁判のやり直しに向け、静岡地裁、検察、弁護団による三者協議が進められていて、2回の協議を終えています。5月29日の2回目の協議で、静岡地裁は検察と弁護団に対して、それぞれが裁判で主張する内容=冒頭陳述の案を7月10日までに提出するよう求めています。

<伊豆川洋輔記者>
「こちらで進められている弁護団会議では、裁判所が求めた冒頭陳述案の趣旨について、具体的な調整を進めているということです」

弁護団はやり直しの裁判で、捜査機関による証拠品のねつ造に焦点をあてるため、これまでに明らかになった証拠を整理し、冒頭陳述の案にどのように盛り込むか話を進めたといいます。

<袴田事件弁護団 小川秀世弁護士>
「具体的な段取りを裁判所が提示して、それにこちらも答えるようにやってきていますので、そういう意味では(やるべきことが)明確になってきている」

一方で検察は冒頭陳述の案の提出について回答を保留していて、有罪立証するかどうかについては、7月10日に考えを示すとしています。