ブレイキンで日本人初の世界王者となった男性が主宰するダンススクールの発表会が11月9日、静岡県菊川市で開かれました。プロを目指す実力者から、障害があるメンバーまで、約250人の個性が輝きを放ちました。
9日、菊川市のホールで行われたダンスの発表会。掛川市と藤枝市を拠点に活動するカラサワダンスクルーのメンバー約250人が、ブレイキンやヒップホップなどを披露しました。演目数は60を超え、1000人近い観客が集まった会場は、絶えることなく盛り上がりを見せました。
クルーをまとめるのが、唐澤剛史代表(49)。21歳の時に日本人初の世界王者となったブレイキン界のレジェンドです。クルーには、ダウン症や自閉症など、障害があるメンバーが所属するハートフルクラスがあります。
<唐澤剛史代表>
「いって上げてドン。いって上げてドン。泰成できたね。ドン、ドン、上げてドン」
ダウン症の澤本泰成さん(26)は、ダンススクールに通い始めて17年になります。2025年2月、グループホームに入居し、平日は家族と離れて生活をしています。
<澤本泰成さん>
「ダンスの仲間が『泰成仕事頑張れよ』とか、そういう感じが好き」
Q.言ってくれるってこと?
「言ってくれる。仲間なんですよね僕は。仲間が好きなので、仲間と仲良くしたいっていうことが一番好き」
発表会を心待ちにしている柴田光浩さん(41)。2025年6月、得意の「ストマックウィンドミル」という回転技をフィナーレでやりたいと唐澤代表に申し出ました。
<柴田光浩さん>
「じゃあ僕を、えっと、ゲストとしては無理でしょうか」
<唐澤代表>
「え、自分をゲストにして自分のコーナーを作ってくれってこと? それだけどさ、それ、みんなそれやりたいって言ったらどうなると思う?」
自宅で練習に励むのは、自閉症の原明穂さんです。自分でリズムをとるのが苦手な箇所があります。
<原さんの母 香里さん>
「練習を積み重ねてだんだん裏打ちができるようになってきて、今6~7割ぐらいかな。意外とできてきましたそれが」
そして迎えた当日。ハートフルクラスの出番です。澤本さんは仲間と共に目いっぱいの情熱をダンスで表現しました。
<澤本さん>
「最高。仲間と出来て幸せ」
苦手を克服しようと自主練に励んだ原さん。母・香里さんも袖から演技を見守ります。練習の成果を発揮し、笑顔がこぼれました。
フィナーレで踊りたいと、直談判を続けた光浩さんは、ソロパートのトリを任されました。再び得意な回転技・ストマックウィンドミルを披露し、歓声を浴びました。
<光浩さん>
「最高です!!踊ることができました」
Q.どうですか気分は?
「いい気分です」
<原明穂さん>
「よかった。頑張ったから。これからもダンス頑張る!」
<唐澤代表>
「1人1人の個性を(表現する)という意味で、制作していくとこれだけ時間がかかったっていう感じなんですね。みんなも僕も全力を出し切ってやり切れたかなとホッとしています」
カラサワダンスクルーの250人のダンサーたち。約5時間に及んだステージは、出演者全員が舞台に上がり幕を閉じました。














