天然痘に似た症状の感染症“サル痘”の感染が拡大し、WHO(世界保健機関)が警戒を呼びかけています。5月21日時点で、イギリスやアメリカなど欧米を中心に12か国で92人が確認されていましたが、ロイター通信によるとスイス、オーストリア、イスラエルでも新たに患者が確認され、中東まで広がりをみせています。
その背景には、コロナの感染予防による免疫力の低下があるのでしょうか?
日本で感染する可能性についても、専門家に伺います。
■合計15か国 “サル痘”相次いで感染発表

天然痘に似たウイルスの感染症、“サル痘”。
サル痘ウイルスが原因とされ過去アフリカで流行したのですが、最近欧米を中心に感染の報告が相次いでいます。
初めて感染が認められたのは、イギリス。5月7日、ナイジェリアからの入国者の感染が確認され、その後詳しく調べると、8人の感染が判明しました。
さらにオーストラリアでは、ヨーロッパからシドニーに戻った40代の男性に感染の疑い、ロンドンからメルボルンに帰国した30代の男性も感染の疑いがあるということです。

WHO(世界保健機関)などによりますと、5月21日の発表でイギリスやアメリカなど12か国92人の感染が確認されており、ロイター通信によるとスイス、オーストリア、イスラエルでも確認されていて、合計で15か国となっています。
サル痘の感染は、ヨーロッパを中心に、アメリカ、カナダ、オーストラリアにも広がっているのです。
■子どもの感染で死亡のケースも 感染経路・予防法は?

サル痘の症状は、発疹、頭痛、発熱、リンパ節の腫れなど。
多くは、2~4週間で自然に回復するということですが、子どもが感染すると重症化、死亡したケースもあるといいます。
感染経路は2つ。
1つ目は、げっ歯類(リスやネズミなど)から人への感染。噛まれたり、血液、体液などの接触によりおこります。
2つ目は人から人への濃厚接触での感染。飛沫や体液、皮膚病変(発疹)を介してうつると考えられています。

天然痘のワクチンである「痘そうワクチン」がサル痘予防にも有効ですが、日本では1976年以降接種は行われていません。
また、ウイルスにかかってから4日以内にこのワクチンを接種すると、感染予防の効果があるといいます。