新型コロナの影響を受けた事業者に対して、実質、無利子・無担保で資金の融資を行ったいわゆる「ゼロゼロ融資」。岡山県の信用保証協会の調査では、返済開始を迎える企業の数が7月から10月にピークを迎えるということです。

岡山県内の企業の倒産は、昨年度2年ぶりに増加しました。岡山に支店がある民間調査会社ではその背景に、「すでに融資の返済が始まった企業」で資金繰りが悪化したことや、物価高騰があるのではと分析します。

(東京商工リサーチ岡山支店情報部 浅利賢 部長)
「前年対比の倒産件数が、毎月増加するような状況が全国で1年間続いている。岡山はちょっとそこまで急激な動きではないんですが、徐々に徐々に倒産が増えていってる」

先月8日、岡山市内の老舗ベーカリー「メルヘンフード」が破産申請の意向を示しました。「新型コロナによる営業利益の減少」が理由で、負債総額は約2億円に上る見込みだということです。約3年間続いたコロナ禍…いま岡山県内の中小企業で苦渋の決断を下す事例が増えています。

東京商工リサーチによりますと、昨年度の企業倒産の数は、岡山県内で「63社」と2年ぶりに増加。そのうち、新型コロナ関連の倒産は26件と、前の年度よりも8件多くなっています。

なぜ倒産する企業が増えたのか。東京商工リサーチ岡山支店の浅利さんは、本格化しつつある「ゼロゼロ融資」の返済で、資金繰りが悪化したことに「物価高騰」が追い打ちをかけたのではと分析します。

(東京商工リサーチ岡山支店情報部 浅利賢 部長)
「当初、借りた企業も想定外で『物価高』が起こったりしたので、この間にストックしておくべき資金、つまり本当は『利益を出して、手元資金を残しておかないといけなかったもの』が、物価高によってそれが吹っ飛んでしまって、なかなか返そうと思っても返すことができない」

返済の見通しの立たない過剰債務と、歴史的な物価の高騰。浅利さんは2重・3重にのしかかる重荷に苦しむ経営者と共に、「伴走型」で支援をする重要性を訴えます。

(東京商工リサーチ岡山支店情報部 浅利賢 部長)
「物価高もありますし、最近はもう『人手不足』というものも、企業経営に非常に影響がある。そういったかなり複雑で深刻な問題について、金融機関とか商工会議所とか、あとは行政が、より突っ込んで話を聞くことで解決に導くといったことが必要になる」

【解説】
岡山県の信用保証協会の調べでは、県内の「ゼロゼロ融資」は、2021年時点で「2万2543件・3330億円余りに上る」ということです。

今年2月には、岡山県の商工会連合会などと信用保証協会で、「ゼロゼロ融資」の返済に向け事業者らの支援を目的とした連携協定も締結。

・中小企業へのヒアリングを行うことや
・「ゼロゼロ融資」の返済に関するセミナーの開催
・中長期の経営計画についての相談
なども、合同で行っています。