2023年も梅雨入りし、大雨のシーズンに入りました。2022年、静岡市では50年前の七夕豪雨に匹敵する大雨災害が起きるなど、洪水のリスクは年々高まり続けていると専門家が指摘しています。その原因の1つが意外にも、地震活動による地盤沈下だといいます。
<静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授>
「あっ超えた、2m超えているね。今回の洪水は1.42mだから、この辺りだね」
Qその時とは排水機能も変わっている?
「そうそう、七夕豪雨をきかっけに大谷川放水路をつくったから」
静岡大学の北村晃寿教授です。22年の台風15号で静岡市清水区がどの位の高さまで浸水したのか、1974年の七夕豪雨と比較しながら調査を続けてきました。その調査結果がまとまり5月21日、千葉県で開かれた学会で発表しました。
<静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授>
「(清水区の)鳥坂とか大内地区では七夕豪雨と比べて今回は(浸水深が)低いもののわずかな差、7cmから20cm。おそらく排水がうまくいかない地域だった」
台風15号による浸水の深さは多くの地点で七夕豪雨よりも低いという結果でした。ただ、内陸部の鳥坂地区や大内地区では深さ2m前後まで浸水し、七夕豪雨との差は7cmから20cmしかありませんでした。
総雨量が500ミリを超えた七夕豪雨から約50年。巴川の水をバイパスする大谷川放水路を整備するなど、静岡市では治水対策が進められてきました。22年の台風15号の総雨量は七夕豪雨よりも少ない400ミリあまりでしたが、それでも大きな被害が出たのには理由がありました。
<静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授>
「実は50年間で34cm(海水面に対し地盤が)低くなっている。その分、排水能力が落ちますから洪水の発生頻度が高くなる。プレート境界の沈降するようなところは洪水のリスクが上がって静岡市では今後この傾向が続く」
南海トラフ巨大地震が想定されている静岡県。陸側のプレートにフィリピン海プレートという海側のプレートが沈み込み、静岡市の周辺では緩やかに地盤沈下が起きています。
七夕豪雨が起きた50年前と比べると25.6cmも低くなりました。さらに地球温暖化で海水面が8.5cm上昇していて合わせると34cm。その分、海水面と川の高さに差がなくなり、海に水が流れにくくなっているのです。
七夕豪雨と台風15号で同じような被害があった地区では、早めの避難などの対策が必要だと北村教授は訴えます。
<静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授>
「フィリピン海プレートの沈み込みによる地盤沈下と温暖化による海面上昇が合わさっていますので、この状態は20年、30年、南海トラフ巨大地震の発生まで続きますので注意が必要となる。地震と違って事前に予測することができますので車などを高いところに逃がすといったような、そういう対策を立ててほしい」
洪水のリスクを高める原因は地盤沈下や温暖化のほかにもあります。50年前の七夕豪雨は海の潮が引く「干潮」の時間帯でしたが、22年の台風15号は「満潮」の時間帯にたくさんの雨が降りました。七夕豪雨や22年の洪水を超えるような大雨災害は今後も起きると予想され、23年の大雨シーズンも油断はできません。
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