これまでの国の主張は? G7で同性婚を認めていないのは日本だけ
裁判で、国は「一人の男性と一人の女性が、子を産み育てながら共同生活を送るという関係に対して、特に法的保護を与えることにある」と主張。
「子どもを産んで育てる異性同士」を夫婦と認める、としているのです。
(鷹見彰一さん)
「男女でも子を持たないという選択肢を選ぶご夫婦もあれば、逆に持ちたいけれども、なかなかご縁が無くて持てないという夫婦もいる。『そうした夫婦もいるのになぜなんですか』と言うんだけれども、『だめなんです』という一点張り」

5月に行われたG7サミット。
同性カップルに法的な権利を認めていないのは、参加国の中で日本だけです。
LGBTQへの理解を定めた法案も提出されたばかりと、先進国の中での遅れは、明らかです。
大野さんと鷹見さんが特に心配するのは、「みとり」の問題です。
(大野利政さん)
「何があっても絶対最後には死別はある。それが早いか遅いかは運命次第ではあるんですけど、その時に笑顔で別れられないのかな、っていうのが今の状況。どれだけ幸せに過ごしてきても、最後の最後で笑顔でお別れできるか分からない、というのが自分の中で一番引っかかるところ」
いくら長年連れ添った二人だったとしても、法的には他人。
互いに、最期に立ち会える保証はないのです。
(鷹見彰一さん)
「例えばパートナーとの別れが目の前に迫り、気持ち的には一種のパニック状態で、1分1秒を争う時に他人扱いされるのは、やっぱりつらい」

幼い頃からずっとそばで見守ってきた、鷹見さんの母親は…
(鷹見さんの母親)
「異性だったら婚姻届1枚で認めてもらえるのに、あの子たちは余分に色んなとこへ行って、色んなことをやってきたんだなって、苦労させてるなって親としては思う」
鷹見さんの叔母は、証人として裁判の証言台にも立つなど、二人をサポートしてきました。
(鷹見さんの叔母)
「スタートを切って、すぐ裁判をしなきゃいけないっていうのは船出から難破したようなものですよね。異性間であれ、同性間であれ、自由に恋愛して、自由に結婚して、自由に別れたりする世界を、あの子たちにも見せてあげたい」
約4年にわたって二人とともに戦ってきた愛知訴訟の弁護団、堀江哲史弁護士は裁判の期間を次のように振り返ります。

(愛知訴訟弁護団 堀江哲史弁護士)
「予想していた以上に注目が高まっている。必ずしも好意的な反応だけじゃないのは承知しているが、昔だったら流されていた差別的な発言が全く流されず、むしろ『おかしい』という声が上がる状態になっているので、思っていたよりも好意的な意見が盛り上がってきている」

JNNの最新の世論調査では、同性婚を法的に認めることについて、63%の人が「賛成」と回答。18歳以上30歳未満の女性では、賛成が91%を占めるなど、世論の高まりがうかがえます。
憲法判断としては2勝1敗になっている一連の同性婚裁判。
愛知訴訟では、30日、判決が言い渡されます。
(大野利政さん)
「好きだから一緒にいるし、家族として過ごしているっていうのを、制度として認めて欲しい」
(鷹見彰一さん)
「この裁判をやって、反対している人たちがいたとしても、その人たちが傷ついたり、何か被害を被ったりすることは何もなくて、認めることによって、より多くの人が幸せになるだけ。それに早く気付いて、動いて欲しいというのが国に対する願い」