情報が少ない段階での初動対応の難しさが浮き彫りに


警察が不用意に近づくことで、犯人が人質にとっている負傷者が射殺されるリスクが高くなるのです。そこにジレンマがあったと宇佐美さんは振り返ります。

人質の安全を確保できれば、事件は一気に解決に向かいますが、そのタイミングが来るまでに、訓練を受けた交渉人が対応にあたるなど、警察にとっても緊張状態が続くと言います。


(元愛知県警 捜査一課長 宇佐美孝一さん)
「長久手の時もそうだったけど、人質がいなくなったら警察は強行突入すればいい。そうなると犯人としては、ボコボコにされる、射殺される恐怖感が出てくる」


通報で駆け付けた警察官2人を含む4人が亡くなった長野の立てこもり事件。情報が少ない段階での初動対応の難しさが浮き彫りとなりました。


愛知の長久手事件の最前線で任務にあたった宇佐美さんは、16年が経った今も悔しさをにじませます。

(元愛知県警 捜査一課長 宇佐美孝一さん)
「(殉職は)もう痛恨の極み。今後は現場出向する際に、十分注意しなければいけないという大きな教訓」