使用済みのてんぷら油をめぐって、世界的な争奪戦が起きています。理由はSAFと呼ばれるCO2の排出が少ないジェット燃料の不足にあります。「日本に飛行機が来なくなるかもしれない」という危機感が高まっています。
都内の繁華街。飲食店の前で毎朝、行われているのが廃食油の回収です。かつてはタダで回収されていたこともあった使用済みのてんぷら油。それがいまは貴重な資源に…、飛行機の燃料になるというのです。
てんぷら油などの廃食油を使ったジェット燃料は、SAFとよばれています。植物由来のため従来の化石燃料よりCO2の排出を最大8割削減できます。空の脱炭素化の頼みの綱ですが、最近、原料となる廃食油の回収が難しくなっています。
レボインターナショナル 永田唯さん
「価格はかなり高くなっている。集められたもの(廃食油)が海外に輸出してしまっている」
理由は世界の争奪戦です。すでにおよそ3割が輸出されているというのです。廃食油の相場は、ここ数年で3倍になっています。その震源地はシンガポールです。
記者
「今見えてきました。こちらが世界最大級のSAFの工場です」
再生燃料の世界最大手・フィンランドの「ネステ」社が手掛けるSAFの生産工場です。先週から本格稼働を開始。特別に撮影が許可されました。巨大なタンクに入っているのが廃食油。独自の技術でジェット燃料を生成します
記者
「廃食油からできたが燃料がSAFです。色は透明で、においをかいでみるとアルコール消毒液のようなにおいがします」
日本のテレビ取材に初めて応じたネステ社のCEOは、狙いは「アジアの油」を集めることだと明かします。
ネステ マッティ・レムスCEO
「世界40以上の国から廃食油を集めている。もちろん日本もその一つだ」
日本の廃食油もここに集まっているというのです。
世界のSAFの供給量はジェット燃料全体のわずか0.03%しかありません。一方で、ヨーロッパでは電車の6倍のCO2を排出する飛行機に乗ることは「飛び恥」ともいわれ、フランスでは電車で行ける距離の国内線が一部運航を禁止されるほどです。
環境にやさしいSAFの調達は喫緊の課題。工場の視察に来た日本の航空会社の役員は。
ANA HD 宮田千夏子CSO
「アジアのこの地域にSAFをつくる工場がオープンして、これから(SAFが)製造されるということは本当に大きな意味を持っている」
一方の日本。国産のSAFの商用化はまだ。先週、ようやく工場の「建設」が始まったばかりです。
コスモ石油 鈴木康公社長
「大阪万博(2025年)までに供給開始できると思う」
提供開始は2年近く後。ただ、生産量はあのシンガポールの工場の50分の1ほどです。ある航空関係者は。
航空関係者
「このままでは日本に飛行機が来なくなる」
世界でSAFの義務化が進む中、国産のSAFがなければ、燃料の補給のために日本を経由地に選ぶ航空会社がなくなると危惧します。
こうした中で、回転寿司のスシローは先月、海老天やポテトなどをあげた後の廃食油を国産のSAFに活用する協定を結びました。
FOOD & LIFE COMPANIES 林麻夕美さん
「国産のSAFへ提供することによって、持続可能な循環型社会を実現していきたい」
ただ、回収業者は。
レボインターナショナル 永田唯さん
「まだまだ足りない。チェーン店の飲食店やコンビニの協力が非常に大事」
国産のSAFの生産に向けたサプライチェーンの構築が急がれています。
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