ウクライナ避難民の思い「すべてうまくいきますように」

ゼレンスキー大統領の来日を特別な思いで待っていた人達がいます。広島に暮らすウクライナ人です。

東部・パブログラード出身のレペシュコ・アリーナさん(33)。去年5月、広島に避難してきました。ゼレンスキー大統領を一目見ようと、平和公園の前へ…

喜入友浩キャスター
「大統領を見たことはありますか?」
レペシュコ・アリーナさん
「いいえ、直接見たことはないです」

車列が近づくと…

アリーナさん
「ウクライナに栄光あれ!英雄たちに栄光あれ!あそこにいる!あそこ!」

夜、平和公園近くに、再びウクライナ人たちが集まりました。アリーナさんによると、在日ウクライナ大使館から「広島に住むウクライナ人と大統領の面会を調整している」との連絡があったということです。

喜入キャスター
「少し物々しい雰囲気になってきました。ずらっと隙間を埋めるように警察官が建物の前に道を作るように壁を作っています」

警備上の理由などで、ギリギリまで調整が続いていましたが…

喜入キャスター
「会えるかどうかの調整はしていたけれど、結果として入ることができなくなった、会えなくなったというアナウンスが今、京都府警の方から有りました」

今回、ゼレンスキー大統領に会えませんでしたが…

アリーナさん
「(ロシアに)勝利したらキーウでゼレンスキー大統領に会えると信じています。
ウクライナに早く平和が訪れることを願っています。すべてうまくいきますように」

電撃来日の舞台裏 ゼレンスキー氏が4月に要望

山本恵里伽キャスター:
G7広島サミットのため電撃で来日をしたウクライナのゼレンスキー大統領。星さんが注目したのは、空港でゼレンスキー大統領を出迎えた松田邦紀 駐ウクライナ大使です。

小川彩佳キャスター:
ゼレンスキー大統領の来日は、世界から大きく注目されましたが、その中で松田大使は、どのような役割を果たしたのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
経緯を整理してみますと、4月の段階でゼレンスキー大統領は来日の意向を示していましたが、具体的な動きはありませんでした。5月14日になってゼレンスキー大統領がパリを訪問した際、マクロン大統領に日本訪問の意向が示され、フランスが政府専用機を貸し出すことになりました。ここで具体化したため、松田さんもゼレンスキー大統領と岸田さんの首脳会談のために一時帰国した経緯があります。

松田さんは元々ロシア語の専門家の外交官で、ウクライナ語も話せるためウクライナとのパイプ役を務めてきまして、3月に岸田総理がキーウを電撃訪問した際も同行をして、首脳会談にも同席しています。

小川キャスター:
ゼレンスキー大統領はどんな狙いを持って来日に至ったのでしょう。

星浩氏:
二つ主な狙いがあったと思います。最新鋭のF16っていう戦闘機を供与してもらいたいこと。F16をアメリカが作っていますので、第三国に供与する場合もアメリカの了承が必要ですが、バイデン大統領は供与を容認しました。
もう一つは、ロシアとの関係で中立を保っていたインドのモディ首相と会談して協力を要請し、「基本的にはウクライナを支援します」という言質を取りつけたのは成果だったでしょう。

小川キャスター:
一方で、平和を希求し続けてきた広島で行われたサミットであったにもかかわらず、核廃絶についてはあまりに踏み込み不足だったのではないかという被爆者の方の声もありました。

星浩氏:
G7の代表、それから招待国の代表が献花をしたり資料館を訪れたりして、広島の心は伝わったと思いますが、広島ビジョンを読んでみますと、やはり核兵器が抑止力として必要だということをはっきり書いておりまして、政策としては今ひとつ踏み込み不足ですね。それは日本がもう少し主体性を発揮して、例えば核兵器禁止条約に対して日本は少なくともオブザーバー参加を独自でやっていくというリーダーシップを見せる必要がありましたが、岸田総理はそこまで踏み込めなかったことが、最終的な声明に対して不満が出た一つの原因だと思います。