19日に開幕したG7広島サミット。そこで“電撃”決定したのが、ウクライナ・ゼレンスキー大統領の来日です。
この決定に至るまでの経緯や思惑はどこにあったのでしょうか?現場を取材した記者の解説です。

ーーゼレンスキー大統領の来日が電撃的に報じられましたけれども、以前から予定されていたものではあったのでしょうか?

TBS政治部与党キャップ 宮本晴代 記者:
実は岸田総理は、今年のかなり早い段階からゼレンスキー大統領を『広島に招待したい』という強い意欲を周りに語っていました。
ただ戦争が続いている中で、アメリカ政府とも非常に緊密に連携をしながら調整は進められました。

数日くらい前から、『もしかしたら来るのではないか』という記者の間でもささやかれるようになって、それで急転直下決まったと。

19日午後の段階でも日本政府のある関係者は『まだゼレンスキー氏の宿泊先が決まっていないんだ』という話をしていて。それだけ非常にばたばたで、かつごく一部の中で進められた話だったと言うことが分かりました。

ーーオンラインではなく、ゼレンスキー大統領がわざわざ来日してG7に参加することになるわけですが、ここにはウクライナ側にはどういったねらいがあるのでしょうか?

宮本記者:
最大の狙いは、G7もそうなのですが、グローバルサウスと呼ばれる、今回のサミットに来る国々です。グローバルサウスというのは、たとえばインドやブラジル、インドネシアと言った新興国でこれから存在感を高めていく国々です。
これらの国々はロシアとの関係が、欧米や日本と違って経済制裁一辺倒ではなく、ロシアとも上手くやっている国々です。

ウクライナのゼレンスキー大統領としては、『ロシアではなくて僕たちの方を見てくれ』『ぜひ支援してくれ』ということを、これらの国々に直接訴えるという狙いがあるとみられます。

ーー一方の日本政府側としては、今回の訪問をどういった狙い、思いで迎えようとしているのでしょうか?

宮本記者:
今回、日本政府の中にはゼレンスキー大統領を招くことによって『完全にロシアを敵にしてしまう』という慎重論もあったようです。それでも岸田総理が『広島にゼレンスキー大統領を』という強い意志で押し切ったとみられています。
そしてウクライナ側も、サミットという国際舞台を最大限、ある意味利用したいという思惑がありました。
ですので、岸田さんとゼレンスキー大統領2人の思惑が合致した形と言えると思います。