ラーメンの具などで知られるメンマ、そのほとんどは海外からの輸入品です。そんな中、熊本県産しかも「厄介な竹林」から誕生したメンマの物語です。

熊本県の南部に位置する多良木町(たらぎまち)。

ここに竹林を歩く男性の姿が。

この場所を管理する悠久農園の矢山隆広さんです。

悠久農園 矢山隆広さん「もともとは畑だったんですけど、30年前から竹が侵入し始めて、今や、竹だらけになっている」

多良木町は、総面積の8割を森林が占める林業が盛んな地域。

しかし近年、高齢化や担い手不足などが原因で荒れた森林の増加が問題となっています。

中でも深刻なのは放置竹林です。

矢山さん「熊本県は全国で6番目に竹林面積が多い県なので、それに比例して放置竹林も多い。(放置竹林は)イノシシや鹿の住処になりやすいので、害獣被害にも繋がるし、竹自体が根がすごく浅いんですよね。地滑りの原因にもなる」

熊本市出身の矢山さんは、もともと県外で仕事をしていましたが、自然豊かな多良木町に惹かれ、6年前「地域おこし協力隊」に参加。その活動の中で「竹」に目がとまりました。

矢山さん「なんでこんな荒れているんだろうってふと気づいて、調べていくと、放置竹林という名前が出てきて。これは、地域課題の一つだとないう風に思ったし、同時に竹を調べていくうちに、竹の可能性というのが見えてきて地域資源になるだろうと」

そこで矢山さんは、地域おこし協力隊の任期後も多良木町に残ることを決意。地元の特産品として何か消費できないかと考え、たどり着いたのが『放置竹林』の竹からメンマを作ることでした。

矢山さん「竹ってたけのこから竹になるまで一年かからないんですよ。数ヶ月でこの大きさになってしまうので。それが毎年、勝手にどんどん生えてくる。その生命力を活かせたら、めちゃくちゃ面白いなっていうのが、始まりでした。」

そんな想いから生まれたのがこの「多良木メンマ」です。

大きくなりすぎた「たけのこ」、いわゆる「幼竹(ようちく)」が使われています。

「幼竹を刈り取ることって、竹を一本切り倒すのと一緒のことなので、労力が全然違うんですよ。これだとノコギリでシャシャと切ればすぐ終わるので、すごい簡単で誰でもできる。幼竹を活用することが一番、竹林整備にも役に立つ」

カットした幼竹はそのまま持ち帰り、下処理などは矢山さんがすべて手作業で行います。

その後、福岡にある工場に下処理された幼竹を持ち込み、商品の完成となります。コンセプトは「おにぎりにあうメンマ」。

矢山さん「日本人が一番食べるのはお米だと思ったので、一番消費してもらえそうなものということで作りました。クラフトメンマみたいなものは、熊本では初だと思います」

多良木メンマは、梅味と、柚子味噌味の2種類。味付けに使う原材料のほとんどを地元産にこだわっています。

さらにアレンジレシピも考案!

梅メンマは長芋に、柚子味噌メンマはキクラゲと和えると、おつまみとしても抜群です!

そんな、新感覚の「多良木メンマ」は4月からオンラインストアや物産館などで販売をスタート!さて、その売れ行きは…?

「みなさんに知ってもらうために、レジの前に置いたんですけど。今は、売り切れ中ですね」

なんと、店頭に並べた50個の多良木メンマは10日ほどで売り切れたのだそう。

気になる、そのお味は?

多良木えびす物産館 嶋元理絵さん「私も試食したんですけど、とっても美味しいです。」

こう話す嶋元さんも、実は、竹林を持つ地元住民の1人。矢山さんの取り組みを歓迎しています。

嶋元さん「実際、我が家にも竹林があったりするので、将来どうしようかなと思うところがあるんですよね、そういうのを活用していただけると、本当に地元にとってありがたいと思います。」

嶋元さん「ぜひ、頑張って続けてください」
矢山さん「頑張ります!もっと長く続けられるようにですね。」

多良木町で誕生した国産メンマ。「食べて無くせ!放置竹林!」を目指し、矢山さんの挑戦は続きます。

矢山さん「メンマの販売を拡大することによって、人を雇うこともできるかもしれないし、竹林が荒れてくるのも抑えることができる。竹で産業を生み出したいっていうのが今の目標ですね」