今月1日に自身のホームページで引退を発表した卓球の石川佳純(30・全農)が18日、都内で会見を行った。
黒色のジャケットに白いスカート姿で登場した石川。冒頭で自身の卓球人生をふり返るVTRが流れると笑顔を見せた。
小学校1年生で競技を始めて以来、23年間の現役生活。「自分自身、やり切ったと思えたから」と引退の理由を明かした。「今日はとても晴れやかな気持ちです。こうして笑顔で今日を迎えられることをとても嬉しく、そしてありがたく思っています」。5月20日から行われる世界選手権への出場を逃し、一線を退く決意をした。
長年、女子卓球界をけん引し、2012年のロンドン五輪では団体で銀メダルを獲得。2016年リオ五輪の団体銅メダル、2021年東京五輪でも団体で銀メダルなど3大会連続で表彰台に上がった。2017年の世界卓球選手権個人戦では吉村真晴と組んだミックスダブルスで優勝。「あの時の表彰台に立った景色っていうのは今までもこれからも忘れられないなという想い」と輝かしい功績を振り返った。
笑顔だった石川が一瞬言葉を詰まらせたのはファンへの思いを口にした時だった。「嬉しいときは一緒に喜んでくださって苦しいときには寄り添ってくれる、そんな素晴らしいファンの方に恵まれてやれたのは幸せなこと」と目にうっすらと涙を浮かべ、感謝を述べた。
「自分が引退したことで後輩に良いバトンを渡せていたらいいな。魅力を伝えてくれる、選手としても人としてもすばらしい選手がたくさんこれからも出てきたら嬉しい」。女子卓球界を背負う後輩たちにエールを送った。
今後は「卓球教室サンクスツアーで47都道府県を回ること。今までは遠征などで勉強する機会がなかったので新しいチャレンジとして勉強してみたい」と石川。具体的なことは決まっていないとしながらも「スポーツが好きなのでスポーツに関わる分野」を学ぶつもりだという。「よく頑張ったかな、頑張れたかな」。23年間、走り抜けた自身を労った。
■石川佳純
1993年2月23日生まれ、山口県出身。157cm、51kg。四天王寺羽曳丘中学校~四天王寺高校。全日本選手権ジュニアシングルスで史上初の4連覇、インターハイ3連覇。2011年全日本選手権でシニア初制覇を果たす。2015年の全日本選手権では54大会ぶりの3冠を達成。五輪は2012年ロンドン(シングルス4位、団体銀メダル)、2016年リオ(団体銅メダル)、2021年東京(団体銀メダル)と3大会連続でメダルを獲得した。東京大会では日本選手団の副主将を務めた。