長野県のブランド品種「信州サーモン」の稚魚の出荷が安曇野市で始まりました。
国際的な会合で提供されるなどして知名度が上がったことに加え、国際情勢の影響も受け、需要が高まっています。
水槽に移される元気な稚魚はマスの一種=ブラウントラウトとニジマスを交配した「信州サーモン」。

県が開発したブランド品種です。
安曇野市明科(あかしな)の県水産試験場で体長7センチほどに育てられ、16日から県内の養殖業者への出荷が始まりました。

■八千穂漁協 佐々木信之代表
「だいぶ多く仕入れました。1万尾ぐらいは多いです」 「4万5,000尾です」
今年予定されている稚魚の出荷量はおよそ40万尾。

新型コロナの影響で、2020年は31万尾にまで減っていましたが、今年はこれまでのピーク・2019年の41万尾に迫る勢いです。

■県水産試験場・星河廣樹さん
「コロナ禍前の水準に回復しつつある状況にあります」
稚魚の出荷量を増やした背景には、「人気の上昇」もあります。
信州サーモンの料理が評判の安曇野市の食堂・小柴屋(こしばや)。
こちらの看板メニューの一つが、信州サーモンのどんぶりです。

市場に出回った直後からメニューに取り入れてきましたが、店主の柴野和哉(しばの・かずや)さんは、このところの人気の上昇を実感しています。

■小柴屋 柴野和哉社長
「非常に大人気で仕込みが間見にわないくらいおかげさまで出ています」
信州サーモンは、2022年の日米首脳会談でアメリカのバイデン大統領にふるまわれたほか、4月に軽井沢町で行われたG7外相会合のワーキングディナーでも握りずしとして提供。

メディアにも取り上げられ、知名度がさらに高まりました。
さらに、もうひとつの要素が。

■八千穂漁業・佐々木信幸代表
「やはり海外産のサーモンが比較的安かったのが、単価も上がってきましたんで、信州サーモンなんかと比べても値段の差がなくなったということで信州サーモンを使っていただける形になったと思う」

ロシアのウクライナ侵攻後、輸入のマス類が品薄となって価格が高騰し、高級魚の信州サーモンに需要が流れているのです。
こうしたこともあり、関係者は稚魚の出荷量の増加を心待ちにしていたわけですが、すぐに解決につながるわけではありません。

■県水産試験場・星河廣樹さん
「ここで業者さんの手元に行ってから育つまでに3年かかりますので、今回お出しした魚が一般の消費者の口に入るまでまだ2~3年かかります。需要が増えたからといって、供給の方が追いつくわけではありませんのでなかなかそこにギャップが生じるのかと思っております」
知名度アップと国際情勢の変化で上がり続ける信州サーモンの人気。
新型コロナで落ち込んだ需要の回復に供給が追いつくには、もうしばらく時間がかかりそうです。














