大阪府泉佐野市が、多額のふるさと納税を集めたことを理由に、地方交付税を減らされたとして、国に対し決定を取り消すよう求めた裁判の控訴審で、大阪高裁は、決定の取り消しを命じた1審を覆し、減額処分が適法だとする判決を言い渡しました。
2019年、泉佐野市は、ふるさと納税で返礼品にギフト券を付けるなどして、約185億円の寄付金を集めました。
国は、多額の寄付金収入を理由に地方交付税を大幅に減額したため、市は2020年、決定の取り消しを求めて、国を相手取り提訴。
2022年、1審の大阪地裁は、「ふるさと納税の寄付金収入が交付税の減額要因となる根拠が見いだせない」として、国に対し決定の取り消しを命じたため、国側が控訴していました。
5月10日の判決で大阪高裁は、覆減額を違法とした1審判決を取り消し、泉佐野市側の訴えそのものを却下しました。
▼裁判の争点は・・・
裁判の争点は、「交付税を計算する上で、ふるさと納税を考慮するのは違法かどうか」。
泉佐野市側は、「交付税の計算でふるさと納税だけが考慮される理論的な説明がない」と主張。
一方、国側は、「税収の足りない自治体に財源を補てんする地方交付税の趣旨に反する」と訴えていました。
1審の大阪地裁は、市側の主張を認めた形だったことから、高裁の判断が注目されていました。
▼市側「高裁の裁判官は、国の代理人務める機関の元トップ」”忌避申し立て”するも却下
2023年4月、市側は、大阪高裁で裁判を担当した裁判長が、かつて国側の代理人を務める国の出先機関(大阪法務局)のトップだったことを踏まえ、「裁判の公正を妨げるべき事情がある」として、裁判官の「忌避申し立て」、すなわち裁判官の”交替”を申し立てました。
しかし、大阪高裁は、「裁判長が大阪法務局長の職にあった当時、本件や本件に強い関連性のある裁判に関与した事実は認められない」として、申し立てを却下していました。
▼泉佐野市長「極めて遺憾」上告は・・
大阪高裁の判決を受けて、泉佐野市の千代松大耕市長は「本市が敗訴することとなったのは、極めて遺憾」とコメントしました。
今後については、「判決内容を精査した上で、最高裁判所への上告の判断をしたいと存じます」としています。
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