戦争は来年までかかる可能性…冬にインフラ攻撃の懸念

小川彩佳キャスター:
ロシアは内紛の様相。そして、ウクライナは反転攻勢の構え。その中で、今後の戦況は?

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師:
これから反撃作戦が始まるので、それに応じて、ロシア側の都市に対する報復が確実に強まってくると思います。
それから、今年の秋冬まで、間違いなく、この戦争は終わらないと思いますので、そうしますと、この冬に我々が見たように、電力インフラなど、人々のライフラインに対するロシアの攻撃なんかも、また強まっていくだろうと思います。
さらに言うと、私はこの戦争は2024年までかかると思ってるんですが、そうすると2024年3月半ばに、おそらく大統領選があって、プーチン大統領としては、これまで国民に遠慮してやれなかったような政策にも踏み込んでしまうかもしれない。具体的に言うと、さらなる動員であるとか、戒厳令を出すとか。そうなってきますと、さらなる戦争の長期化が視野に入ってきてしまいますよね。

小川キャスター:
ウクライナ側の反転攻勢は、これからどう展開していく?

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師:
おそらく南部を狙うんじゃないかというふうに見られていて、考えうる最大の戦果を上げようとすると思う。ただ、最大限うまくいっても、おそらくロシア軍を完全に叩き出すということは無理だと思います。また戦争ですから、うまくいかないという可能性も当然ある。うまくいっても、いかなくても、これだけで戦争が終わるものではない。

小川キャスター:
どう終結していく可能性があるのでしょう?

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師:
なかなか難しいです。プーチン大統領の最終目的は、おそらく領土を何万平方kmとるという話ではなくて、ウクライナの主権を奪う、あるいは、ロシアに従属させる、ということなんだと思う。そうしますと、この戦争は、ロシア側からあきらめるということは難しい。
ウクライナは、今回の反転攻勢もそうですし、できれば次の機会ぐらいまで、なるべく反撃を続けて、ウクライナにとって有利な形で、どこかの段階で停戦を図るというような政治フェーズにつなげていく、というところがカギになってくると思う。