「ショイグ!ゲラシモフ!弾薬はどこだ!」
並べられた戦闘員の遺体を前に、創設者のプリゴジン氏が国防相らに激怒する動画が話題となったロシアの民間軍事会社「ワグネル」。ウクライナ東部の激戦地バフムトでの戦闘では多大な犠牲が出ていると見られます。私たちは今年2月、バフムト近郊で3か月を過ごした「ワグネル」戦闘員に取材、「傭兵部隊」の実態を聞いていました。

JNNのクルーが特別に取材を許可されたのは、所在地を明かすことを禁じられたウクライナ“極秘施設”です。重厚な扉の先で待っていたのはロシア兵捕虜たちの厳しい視線。収容中の民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員が語ったのは、受刑者を激戦地へ送る“傭兵集団”の実態でした。

窃盗で服役中 自由の身になれると言われ激戦地に「これは何のための戦争なのか分からない」

本人の意思を直接確認し、本心を聞くため、ウクライナ当局の担当者には席を外してもらいました。

捕虜になったワグネル戦闘員(23)
「私は刑務所に入っていました。そこに『ワグネル』の担当者が来て戦闘に参加するように勧めてきました」

「ワグネル」とは、ロシアの民間軍事会社で、その会社に誘われ、戦闘員になったと言います。ワグネルはロシア軍の兵員不足を補うため、金で雇った戦闘員をウクライナの前線に派遣しています。特にワグネルの戦闘員は激戦地に投入される傾向が強いと指摘されています。

ウクライナで戦ったワグネルの戦闘員が日本メディアの取材に応じるのは、これが初めて。男性は自動車窃盗の罪で服役中でしたが、月20万ルーブル(約36万円)の報酬で半年間戦闘に参加すれば、自由の身になれると言われたそうです。

「バフムトの近くに送られました。ウクライナ軍の陣地に突撃しなければなりませんでした。昼も夜も砲撃が続いていて兵士たちは常に戦闘を続けていました」

男性は、いま最も激しい戦闘が繰り広げられているウクライナ東部・バフムトで去年末までの3か月間、戦闘にあたったといいます。