「LGBT理解増進法案」について、G7広島サミット前にギリギリの調整が続いています。“LGBT先進国”カナダの例を参考に、日本の現状を解説します。

LGBT理解増進法案 G7前の成立目指し議論

良原安美キャスター:
調整が続いている“LGBT理解増進法案”についてです。
公明党の山口代表によりますと、岸田総理は「G7広島サミット前の成立に理解を示している」としています。
なぜ、スケジュールの区切りとしてG7広島サミット前なのかというところに迫ります。

去年のG7サミットは、ドイツで行われました。

【G7 エルマウサミット】
▼首脳宣言
性的指向に関係なく、差別や暴力からの保護を確保することを再確認

さらに、今年4月に行われたG7外相会合です。

【G7外相会合】
性的少数者らの権利保護に関し、世界を主導することを確認

そして、5月19日から行われる予定のG7広島サミットでも「引き続き推進」とされていて、多様性を認め合う議論が重要視されているのがわかります。

では性的マイノリティに対するG7各国の状況です。

【性的少数者に関するG7各国の状況は】
【1】同性婚
◯ アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア(結婚に準じた権利)・カナダ
✕ 日本

【2】性的少数者差別禁止法
◯ アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・カナダ
✕ 日本

同性婚は、日本以外では認められています。そして、性的少数者差別禁止法も日本以外では成立している状況です。

国内で調整が続いている“LGBT理解増進法案”の内容は「性的指向などの多様性に関する国民の理解を増進させる上での国・地方の役割などを明らかにする」というものです。
この議題に対して、日本が議長国としてリードしていけるのかというのも各国から注目されています。

ホラン千秋キャスター:
G7各国の対応を見ますと、日本だけが法的に認められていない状況ですよね。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
性的少数派の皆さんの権利や、平等性を保っていくことは、やっていかなきゃいけないことだと思います。
先日も代々木公園でイベントがありましたが、1日で20万人が集まっています。
ということは、国民の皆さんの中では、そこに対する理解が広まってきてるのではないかなと思います。
あとは国・地方の役割を明らかにして、法案の中で権利や平等性を守っていくことが大事だと思います。
当然G7という一つの時間的なタイムリミットがあるのかもしれないですけど、それに関わらず丁寧な議論をすることが大事だと思います。
遅れてるのは間違いないので、少しでも早く、この法案が通って性的マイノリティの皆さんも過ごしやすい状態が日本で作れるといいなと思います。

ホランキャスター:
他国と比べなかったとしても、日本国内でも様々なデータの中で国民レベルでは認めてもいいのではないか、と賛成派の方が大半を占めるデータもたくさんあるわけです。
けれども保守派の皆さんは、「差別はあってはならない」というところ、“不当な”と付けないと安心できないというのが、日本の政治の現状なのかなと感じます。

そもそも“不当”“正当”も差別にはなくて、その中で、どうしても付けなければいけないというところで「日本って、まだそこなんだな」と思ってしまいますよね。

松田丈志さん:
付けても付けなくても、本来は変わらないんじゃないかと思うところがありますが、最後まで議論し尽くして、ちゃんと決め切ることが大事だと思います。

日比麻音子キャスター:
何よりも当事者の方々の声をしっかり聞けているのかどうかが重要だと思います。
G7における“ただのアピールポイント”にはして欲しくないと思います。