新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが8日、季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられました。社会が“withコロナ”に舵を切ってもなお苦悩が続く、高齢者施設と飲食店の現状を取材しました。
岩手県滝沢市の「老健たきざわ」は、滝沢中央病院と同じ建物内にある老人介護保険施設で、およそ100人の高齢者が入所しています。

介護度の平均は4を超えていて寝たきりの入所者が多く、新型コロナへの感染は重大な結果につながりかねません。
そのため職員は勤務開始前の体温測定など毎日の健康観察に加え、県の補助で全職員の抗原検査を週2回行うなど施設内にウイルスを持ち込まないことを徹底しています。


施設を経営する医療法人社団松誠会理事長の伊藤浩信医師です。
感染力が強いものの重症化率は低いとされてきたオミクロン株も、高齢者施設にとっては全く予断を許さないといいます。
伊藤さんが副会長を務める県介護老人保健施設協会が会員の62施設に調査したところ、オミクロン株に移行したとみられる第6波以降、老健施設での新型コロナ患者の死者数は第6波で3人、第7波で17人、第8波は106人と増え続けました。

(伊藤浩信 医師)
「どこの施設でもですね、感染対策はやはり厳重にやっておりまして、手を抜いてるわけではありませんので。やっぱりちょっとした、目に見えないウイルスを相手にしてますんで、ちょっとしたところで入り込まれるっていうところがあると思います。その辺がこのコロナの恐ろしさっていうかですね」
この施設でも、過去に一度だけ入所者1人が感染したことがありました。その際には感染した入所者の世話をするため、職員が使用した防護服はその場で脱ぎ着するなど徹底的にゾーニングを行い、ウイルスの封じ込めに成功しました。

新型コロナウイルスが入所者の生命に危険を及ぼすという厳しい現実。感染法上の位置付けに関係なく、高齢者施設が感染対策を緩めることはありません。
