現役最強の棋士・二十歳の藤井聡太叡王に、岡山市在住の菅井竜也八段が挑んでいる叡王戦は、菅井八段が1勝1敗の五分に持ち込みました。そして、いよいよあす5月6日、名古屋市で行われる第3局に注目が集まります。

4月11日に東京の神田明神で開幕した叡王戦です。現役のトップ棋士の中では極めて稀な、序盤に飛車を横に振る「振り飛車党」の菅井八段。第1局ではその「振り飛車戦法」で藤井叡王に挑みましたが、中盤以降に差が広がり敗れました。

そして、4月23日の第2局でも「振り飛車」にこだわった菅井八段。今度は、中盤のねじりあいで藤井叡王の読みを上回り、飛車と角を巧みに使い、それ以降はリードを保ったまま完勝しました。

(菅井竜也八段)
「きょうの将棋は、中盤が難しかったかなと思います。応援してくれるのは力になるので頑張りたい」

(藤井聡太叡王)
「読みの精度を高めて、第3局以降に臨めればと思います」
現役最強の棋士を相手に、1勝1敗の五分に持ち込んだ菅井八段です。そして、迎える第3局はあす、名古屋の老舗料亭「か茂免(かもめ)」で開催されます。全国が注目する対局は、すでに準備万端です。

「勝負めし」も報道陣に公開されました。まだどれを選ぶかは分かりませんが、「ヒレカツ御膳」や「海の幸盛りだくさんのちらし寿司」「鴨の手延べうどん」などが用意されています。
料亭の大広間で行われる第3局。この場所で菅井八段は、こだわりの振り飛車で再び藤井叡王に勝利できるか。あす6日午前9時、対局開始です。

【解説】
現役最強の藤井叡王に土をつけた菅井八段。その藤井叡王がどれほどすごいのか、解説していきます。
将棋には8つの大きなタイトルがあります。この8つのうち6つを、藤井叡王は二十歳にして独占しています。さらに、いま叡王戦と並行して行われている「名人戦」でも、渡辺明名人に対して2勝0敗とリードしている状況です。

その藤井叡王に対して菅井八段の戦績はというと、通算で4勝6敗の勝率4割。この4割というのが凄いのです。例えば、現在名人の渡辺明さんは藤井叡王に対して勝率1割強。永瀬王座も3割弱と、菅井八段は他の棋士と比べて藤井叡王に対する相性の良さが際立ちます。

さて、その菅井八段は叡王の座を奪うことができるのか?叡王戦のスケジュールを見てみましょう(画像参照)。先手番で9割近い勝率を誇る藤井叡王に対して、菅井八段は、なんとここ数年「後手番」の勝率が高いのです。そして第3局は、藤井叡王が「先手番」、「後手番」が菅井八段ということで、こう見てみると決して不利ではない、行けるのではという期待感も膨らみます。
果たして現役最強の六冠棋士・藤井叡王の牙城を崩せるか。勝った方が、叡王タイトルの獲得に王手をかける第3局は、いよいよ明日6日に行われます。