ロシア大統領府は、プーチン大統領の執務室があるモスクワのクレムリンに3日未明、ドローン攻撃が試みられたと発表しました。
これは先ほどからSNS上などで拡散している攻撃の瞬間とされる映像。ロイター通信が配信しました。
ロシア大統領府によりますと、ロシアの政治の中心クレムリンへの攻撃はドローン2機で試みられ、クレムリンにあるプーチン大統領の執務室を標的としていたということですが、ロシア軍の電子制御システムなどにより制御不能にしたとしています。
ドローンはクレムリン内に落下しましたが、けが人はいないということです。
ロシア大統領府は、9日の戦勝記念日を前にプーチン大統領を狙った「ウクライナのゼレンスキー政権によるテロ行為」だと主張し、「報復を行う権利がある」としていますが、ロイター通信によりますと、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問はウクライナのドローン攻撃への関与を否定しているということです。
ロシア大統領府が発表したクレムリンに対するドローン攻撃。9日の戦勝記念日に向け周辺の警備は強化されていますが、今回の件を受けての大きな変化は見られません。ただ市民からは様々な反応が聞かれました。
モスクワ市民
「プーチン氏が言っていたのですが、喧嘩をさけられない時は先に殴らなければなりません」
「特別軍事作戦を全て終わらせるべきです。今後、状況が悪化するばかりだからです」
この男性からは長引く戦闘にうんざりしている様子がうかがえました。
本当に攻撃があったかも含め詳細は確認できず、ウクライナ政府は関与を否定していますが、ロシア大統領府は「プーチン大統領を狙ったゼレンスキー政権のテロ行為」と主張するとともに「報復を行う権利がある」としていて、今後のロシア側の出方が焦点となります。
■ドローン攻撃は誰が? 専門家「自作自演の可能性も否定できない」
東大先端研 専任講師 小泉悠 氏:
映像を見て、率直に言うと、これだけでは何とも判断がつきません。
映像を見る限り、通常の低速の固定翼式ドローンのように見えますから、こういうものはウクライナ軍もロシア軍も持っている。今、民間の市場でも手に入るので、攻撃しようと思えば誰でもできる。
動機は、例えばウクライナ側が何らかの政治的な象徴的効果を狙ってクレムリンに攻撃を仕掛けるとか、ロシアが戦争をエスカレートするための正当性を確保するために、いわゆる“偽旗作戦”をしたとか、どちらも攻撃する動機はあるように見えるので、その意味からも誰からの攻撃なのか言えないと思う。
ただ、仮にこれがウクライナの作戦であったとするならば、まさにロシアがずっと恐れていたこと。有名な話ですが、クレムリン周りでは一時期カーナビが使えないなどということがあり、これはドローンの誘導電波を妨害していると言われていた。鷹を飼ってドローンを狩らせるとか、いろんな防御策をしたのですが、それがついに実際にドローンの侵入を許してしまったということなので、プーチン大統領がこれに激高して何か強硬な手段をとる可能性もなくはないと思います。
他方、これまでの戦争の中でもプーチン大統領は核を使えていない。それから動員を行うにしても、非常に慎重であったということがわかっていますので、仮にウクライナの作戦であったとしても、これで一気に戦争のエスカレーションに繋がるかどうかは、正直プーチン大統領の反応を見てみないとわからない。
プーチン大統領は、そろそろこの戦争で何らかの成果を上げたいからエスカレーションしたいが国民に申し訳がたたないから、今回のようなことを自作自演してみせたという可能性は否定できないと思います。
もう一つの可能性は、5月9日に戦勝記念パレードというロシアで最も重要な国家的行事が行われますので、それと関連している可能性もあると思います。パレード前に国民の士気を上げるというか、「我々は攻撃を受けているのだから大統領の元に結集しなければいけないのだ」という話の方向にもっていきたいという可能性が一つ。
また、今回の5月9日のパレードは全体的に政権はあまり大々的にやりたくないと。あまり国民に誇れる戦果も上がっていないし、それこそパレード中に今回のような攻撃を受けるのではないかという懸念もある。いつもパレード後に身内から出た戦死者の写真を掲げて市民が行進する「不滅の連隊行進」を行うのですが、2023年は恐らく相当の人がウクライナで亡くなった親族の写真を掲げて行進することになってしまうと思う。なので、こういった行事に関しては一部取りやめ、または全面取りやめをすでに決めているんですが、そこにさらにダメ押しで「全部やりません」という方向にもっていきたいので、実際今回のような危ないこともありますからというようなことをやってみせたという可能性もあると思います。現状、「これだ」とは言えないと思います。
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