「飛行機で来る難民はたくさんいる」

日本の難民認定のハードルが高いのには“ワケ”があるという。“難民審査参与員“という出入国管理局の難民認定の担当者というべき立場の人が、2年前国会の法務委員会でこんな答弁をしている。

「難民認定したいがほとんど見つけることができません。正規のビザで入国した後本来の目的から外れた難民申請をするケースや不法滞在や犯罪で退去強制手続きに入ってから難民申請するケースも多い」

自民党法務部会長で入管法改正案の実務担当者である宮崎政久衆議院議員も「申請している人たちの中に元々難民が少ない」としている。宮崎議員に前出の二人の難民認定申請者の取材映像を見た上で、なぜ難民認定できないのか聞いた。

自民党 宮崎政久衆議院議員
「大前提として、個別の事情に関してここで議論しようとしてもそれぞれ事情が違うから判断できない。個別の事案をテレビで議論するのは適切ではない」

としたうえで、日本の難民認定が少ない理由として、いささか難解な説明を聞かせてくれた。

自民党 宮崎政久衆議院議員
「UNHCR(国連高等弁務官事務所)で難民として認定されている人の73%は隣国に避難して、認定されてる。つまり、日本は島国でありますから日本に来るには航空機に乗ってこないといかんわけです。もちろんアジア周辺国で事態が起きれば着の身着のまま海を渡っている方もいらっしゃるということも想定できますが、現状難民が出ている国からは飛行機に乗ってくる。(中略)航空機代を払ってビザを取って入国をしてきた方が多い日本と、地続きで…、歩いて避難する人たちの映像がワールドニュースなどで出てきますが、そういう国と違いがあるということはご理解いただきたい…」

つまり着の身着のまま隣国に歩いて避難してくるのが難民で、飛行機に乗ってきてビザを持っているのは難民じゃないということか。一方、『使い捨て外国人 人権なき移民国家 日本』の著者で名古屋入管で死亡したウィシュマさんの遺族代理人でもある指宿弁護士は言う。

指宿昭一 弁護士
「(飛行機で来るのは難民じゃないのか?)全くそうは思わない。それはイメージの問題。難民というものにどういうイメージを持つかというだけで、飛行機で来る難民はたくさんいる。ミョーチョーチョーさんのように母国で政治活動をして国にいられなくなって逃げてくるんで、飛行機で来る人もいれば船で来る人もいる。日本は海に囲まれてるんでどっちかで来るしかない…。イメージで難民じゃないと言われても困る」

何を根拠に飛行機で来るのは難民じゃないというのか、裏付けをするデータがあるのか宮崎議員に聞くと…。

自民党 宮崎政久衆議院議員
「そこは、引っ張り過ぎですよ・・・」

と流した上で、地続きの国と島国では事情は違うということだとまとめた。
だが続いて、難民認定率の日本と世界各国と比べたデータを見ると…。

日本は申請数自体かなり少ない(6150件)が認定された数はわずか65件。難民認定率1.1%だ。日本と同じ海に囲まれたオーストラリアは14575件申請があって2001件、13.7%。日本と同じ島国のイギリスに至っては、難民認定率67.2%だ。どちらも歩いてきたわけではあるまい。これを見た宮崎議員は・・・。

自民党 宮崎政久衆議院議員
「言語であるとか文化であるとか、そういったことの共通性。どこの国に避難を求めたいかというときに…」

難民がどこの国に逃げたいかという話に変わってしまった。結局日本がなぜ難民を認定しないのかという疑問は最後までわからなかった。少子化が加速する日本は外国人が来てくれなければ成り立たない日が近い将来やってくるのに、一方で外国人を寄せ付けない流れもある。そんなことをしているうちに、外国人の方が日本に来てくれなくなるかもしれない。

(BS-TBS 『報道1930』 5月2日放送より)