国立社会保障人口問題研究所試算によれば2020年1億2615万人だった日本の人口は2070年には8700万人に減少する。注目すべきは2020年の人口のうち外国人が占める割合はわずか2.2%なのに対し2070年には10.8%に達するとしていることだ。つまり50年後の日本は10人に1人が外国人になるのだ。この数字を分析すると外国人の流入が増えることで日本の人口減少が若干緩和されるということだ。逆に言えば日本は外国人が住み着いてくれなければ国家存続の危機になりかねないと言っても過言ではない。

ところが、この試算通りに外国人は増えない、来てくれないという見方も少なくない。事実、日本という国は外国人が住み着くにはハードルが高い。障害のひとつは『技能実習制度』だが、これは廃止になることが決まり今後改善が期待される。最も厄介なのは『難民認定審査』だろう。

日本は世界的に見て難民の受け入れ、認定が極端に少ない。これは何故なのか・・・議論した。

「もし無理やり送還しようとするなら、私はその場で自殺する」

家族の帯同を認めなかった技能実習制度が廃止されることは、外国人労働者にとって喜ばしいことだろう。一方で、もう一つ法律が改正されるものがある。『入管法』だ。その中で難民申請のルールが変わろうとしている。だが、このルール変更は“改正”ではなく“改悪”だとの声を聞く。一体どういうことなのか・・・。番組では2人の在留外国人を取材した。ひとりはミャンマーから逃れてきたイスラム系少数民族ロヒンギャの青年。高校時代から民主化運動に参加し、軍や警察に何度も拘束された。

ロヒンギャ(難民申請審査中) ミョーチョーチョーさん
「(ミャンマーで)最後に捕まったのは会議をやってるとき、公安みたいな軍の人たちと警察官が銃を持ってお店の中まで入ってきて『全員動くな』って・・・(警察ではなくいきなり刑務所に入れられた)もう終わりだって思った。もう終わりだって・・・。裁判もない、全部軍が決める。暴力するかしないも、殺すか殺さないかも(軍が決める)。刑務所の中でも結構暴行されていた。拷問もされた。拷問されるときは・・・、拷問されるところに着いたら全部服を脱がないといけない。裸で拷問される・・・」

父親が関係者に賄賂を渡し刑務所から出られたミョーチョーチョーさんは、父親が手配したブローカーを使って2009年ミャンマーを出国した。日本に来て難民申請したが3度却下された。今回委員会を可決した改正入管法では、難民申請を3回却下された者は自動的に強制送還される可能性がある。当然ミョーチョーチョーさんは反対している。

ロヒンギャ(難民申請審査中) ミョーチョーチョーさん
「もう本当に政府がこの法案を認めたら、もう何万人の人が命を落とす。何もわからない国に送還される。そもそも危ないから逃げてきた。私自身だって今ミャンマーに送還するって言われたら・・・。もともとミャンマーは私(ロヒンギャ)を国民として認めてくれないし、軍の人たちと1対1で戦ってきた。(――強制送還される可能性は?)全然ありますよ。全然ありです強制送還。日本の入管はミャンマーがクーデターだろうが何だろうが関係ないから・・・。もし無理やり送還しようとするなら、私はその場で自殺する。」

もう一人、顔も名前も出さない条件で取材に応じてくれたのは、2004年にトルコから逃れてきたクルド人の男性。反政府組織『クルド労働党』を支持者として当局にマークされていたという。彼もまた難民申請を3回却下されていた。さらに彼は、2021年日本でエルドアン政権を批判するデモに参加したことでトルコ当局から訴追されている。つまり強制送還されれば逮捕される可能性が高い。

クルド人男性
「3回却下で、強制送還。まずそれはおかしい。15歳で日本に来て今40歳。25年、人生の半分以上日本にいる。3回以上難民申請出してる人、殆どそういう人たちは日本の生活に慣れてるよ。(中略)送還されれば間違いなく逮捕される、100%。もうその命令が出ている。強制送還されたらどうなるのかわかんないよ。外国人ってだけで、弁護士がいても、いくら頑張ってもどうにもならない。送還されても向こうで逮捕される。子供たちの人生もぐちゃぐちゃになっちゃう。一番心配なのは子供たち。」

二人とも流暢な日本語で語ってくれた。日本での生活にすっかり馴染んでいる様子だった。二人とも様々な条件で日本に滞在することは認められているものの3回申請しても難民として認定されない。