陸上自衛隊の輸送機オスプレイを佐賀空港に配備する計画について、地権者で作る協議会は1日、駐屯地の建設に必要となる土地を売却することを決めました。
◆「佐賀空港がベスト」と防衛副大臣

1日午前、佐賀県有明海漁協の南川副支所で開かれた臨時総会。集まったのは、佐賀空港西側の土地の地権者たちです。防衛省はここに駐屯地を整備し、陸上自衛隊の輸送機オスプレイを17機配備する計画を示しています。
武田良太・防衛副大臣(当時)「地理的な要素、そして環境面、そして運用面等々、総合的に判断した結果でありまして、佐賀空港がベスト」
国が佐賀空港へのオスプレイ配備を最初に要請したのは、今から9年前。その4年後に、佐賀県の山口知事が受け入れを表明しました。
山口知事(2018年8月)「県としては防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定の変更について漁協と協議させていただく」
◆漁協、佐賀市が受け入れ姿勢に

その後、地元の漁協との交渉が続き、2022年11月に事態が大きく動きました。
佐賀県有明海漁協 西久保保敏組合長「苦渋の選択で、全員一致で賛同をもらった」
佐賀空港が建設される際に佐賀県有明海漁協と県が結んだ「公害防止協定」。自衛隊との空港の共用を否定するものですが、漁協はこの協定の見直しに踏み切りました。すると、空港が立地する佐賀市も受け入れを表明しました。
佐賀市坂井英隆市長「苦渋の思いではありますが、受け入れはやむを得ないと判断しました」
◆ハードルとなっていた用地取得

防衛省にとって駐屯地の建設に向けて残された大きなハードルは、佐賀空港西側の土地の取得となっていました。土地を売却するかどうかは、地権者約250人で作る協議会が総会を開き、3分の2以上の多数で決まります。その交渉の行方は……。
佐賀県有明海漁協南川副支所 田中浩人さん「3分の2以上の多数で、第1号議案は決議しました。要するに賛成ということです」
地権者で作る協議会は1日、賛成多数で国に土地を売却することを決めました。一方、計画に反対する地権者は……。
反対住民の会会長 古賀初次さん「残念。頭真っ白」
配備に反対する地権者は「協議会に土地を売却する権限はない」として法的手段も辞さない構えを示しています。
山口知事「地権者のみなさまに、非常に悩ましい判断をしていただいた。国防の大切について」
九州防衛局は今後、空港西側の土地を買収してオスプレイ配備に向けた手続きを進めていく方針です。