スイッチ1つで一瞬にして透明にかわる「液晶調光フィルム」は薄さや耐久性で他社を圧倒しています。独自の技術でこのフィルムを開発した「九州ナノテック光学」を取材しました。
大分県日出町藤原に本社を構える「九州ナノテック光学」。2004年に創業し現在の従業員数は60人。技術力で大分をけん引する企業です。

(九州ナノテック光学・馬場潤一社長)「最初は3、4人で始めたんですけど、今は60人でこんなにたくさんになったんだなと責任は増えてきたなと思いますね」

企業が開発したのは「液晶調光フィルム」です。スイッチ一つで一瞬にして透明にかわるフィルムは薄さや耐久性で他社製品を圧倒する技術力です。さらに世界初の発明が…
(品質保証部・馬淵浩之さん)「リヴァースタイプといいまして、こちらのタイプは今、電源がオフの状態で透明で、電源を入れてあげると不透明になるようなタイプとなっております。技術としてはかなり難しいものになっているのを、弊社としては世界初として世に送り出せました」


2015年に開発したリバースモード型の液晶フィルムは「九州ナノテック光学」の技術力をアピールする製品となり新たな事業展開に繋がりました。
(製造部・岩光恭直部長)「ここは我々の調光フィルムの加工工場となっています。全面で外観の検査をしたり、形状をカットしたりしてお客さんに出す工程です。現状では1日に車600台分の生産能力を持っています」
技術がトヨタ自動車に認められ、2020年からハリアーのパノラマルーフに採用。会社は飛躍的に成長し、売上高は2019年から10倍ほどのびておよそ30億円になりました。さらに発電機能を搭載したフィルムなど新たな構想も。

(馬場潤一社長)「フィルムが自分で発電したエネルギーを使って調光するというのは、まず一つ、夢とは言わないけど一つハードルがあるんだろうなって。会社は光をどううまく使っていくかというのをテーマにしてますので、調光だけじゃなくて光に関してはあらゆることをやっていきたいと思ってます。
製品開発のため、会社が取り組むのは若手技術者の採用。現在、インターン中で来年度就職予定の杉崎琉菜さんは「調光フィルムを世界へ」と夢を膨らませます。
(大分大学理工学部 大学院2年・杉崎琉菜さん)「調光フィルムが車だけでなく、あらゆるものに利用できるように、世界に広められるよう、これから開発をしていきたいと思います」
(馬場潤一社長)「大分の人たちが安心して夢を持って働けるっていうところができると、もっといいなと思いますね。面白いアイディアを持ってる学生さんたちもいらっしゃいますので、うちに入社していただいて、夢を実現してくれるといいなと思います」