病院も初めて トランスジェンダー当事者の妊娠・出産

「だいたい1500グラムくらい、平均よりは小さいところですね」担当は、新開翔太(しんかい・しょうた)医師。30代で、穏やかな語り口が印象的でした。

問診中のきみちゃんは、説明にうなずくものの、ほとんど新開医師と目線は合わさず、結婚指輪を右手の指でなぞるようにさわっていました。

新開医師が「ちょっと元気ないように見えるけど、大丈夫?」と気遣うと、きみちゃんはかすかに聞こえる程度の声で、「…はい」と返事をしました。

この日は医師の診察のあと、病棟を担当する助産師と、別室で面談が行われました。この病院では、トランスジェンダー当事者の妊娠・出産を担当するのは初めて。病院側も、こころは男性であるきみちゃんのニーズを、真剣に汲み取ろうとしていました。

「からだの変化はどう受け止めている?」
「相談できる人はいるの?(当事者の仲間で)妊娠とか出産とか経験している人はいるのかな」
「こういうワードを言われたら嫌だとか、こういう対応が嫌だとかもないかな…?」
助産師はうつむき加減のきみちゃんの表情を確かめながら、そして言葉を待ちながら、ゆっくりと質問していきます。