中国ではきのう、「反スパイ法」が改正されました。日本大使館員と接触した中国メディアの幹部が、スパイ罪で起訴されたことも明らかになり、海外との人的交流がいっそう委縮するのではとの懸念が高まっています。
北京中心部の老舗ホテル。その日本料理店で去年、日中関係を緊張させる事件が起きました。
林芳正 外務大臣
「北京市内において、在中国日本大使館員がその意に反して、中国側当局により、一時拘束されるという事案が発生しました」
この時、日本大使館員が昼食を共にしていたのは、中国共産党メディアで論説部副主任を務め、著名なジャーナリストでもある董郁玉さん(61)。日本大使館員と同じタイミングで拘束されました。
大使館員はその後、解放されましたが、董さんは今年3月にスパイ罪で起訴されたことが今週明らかになり、関係者に衝撃を与えました。長年、親交がある北海道大学の城山英巳教授は、董さんは改革派の論客として知られ、海外の知識人からも慕われていたと話します。
北海道大学 城山英巳教授
「自由にものを言える空間をどんどん増やして、同時に司法の独立も唱えられてきた方で、習近平体制からみたら、逆の方向に進むべきだと主張されている」
董さんはその北海道大学のほか、慶応大学にも招かれ、研究活動をしたことがあり、関係者によりますと、取り調べの際、そうした日本滞在時の行動を詳細に書き起こすよう求められたといいます。
北海道大学 城山英巳教授
「習近平国家主席が国家の安全についてかなり強調するなかで、中国の改革派知識人と日本をはじめ、外国の大使館・ジャーナリストに対する関係をかなり神経をとがらせて見ているのだなと」
城山教授は今後、中国の知識人との交流はより厳しくなるのではないかと懸念します。
北海道大学 城山英巳教授
「われわれ研究者や外交官が中国の知識人と政治的な問題も含めて、雑談・意見交換は全くできない状況になったと強く感じます」
スパイ行為を取り締まるいわゆる「反スパイ法」の改正がきのう行われた中国。取り締まりの強化とともに、中国人と外国人の交流が一段と委縮するのではとの見方も広がっています。
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