大仲が初めて山口を訪れたのは、高校2年の11月。智弁和歌山の2学年上の先輩で先に進学していた入江諒から誘われ、練習に参加した。

大仲さん
「正直なところ、どこにあるんだろうとは思いました」

プレースタイルに魅せられて

生まれてから17年を和歌山で過ごしてきた大仲にとってなじみのない土地とチーム。しかし、すぐにチームのスタイルに魅せられる。

大仲さん
「大学生は聞く限り練習はそこまできつくないっていうか、そんなにしんどくないというか、楽って聞いてたんですけど、ここはそれと違って、しんどい中でみんなが競争してやってる姿に、自分もそこでやりたいと思いました。走塁の意識が僕たちとも全然違うと感じて、ここの大学すばらしいなと、ここの大学にしようと思いました」

山口で受けた刺激を和歌山に持ち帰り、練習に励んだ。その翌月、大仲の野球人生を語る上で欠かせない、大きな出来事が・・・

レジェンド・イチローさんとの出会い

大仲さん
「智弁和歌山で過ごしてきた中で、イチローさんが来てくれたことが一番うれしかったですね」

2020年2月、大仲らのいる智弁和歌山を訪れたのは、世界のイチロー。3日間みっちり指導を受けた。

大仲さん
「ほかの人が持ってないようなオーラを持ってました」

レジェンドのことばや考え方の一つ一つが大仲に突き刺ささる。

大仲さん
「ツーストライクからの意識ってどうされてますかと聞いて、三振も内野ゴロも結果としてアウトは同じだから、いつも通りというかそんなに何かを変える必要はないんじゃないかという風に教わりました」

「最後、イチローさんが僕たちに『ちゃんとやってよ、ずっとみてるから』って言って下さって。頑張ってるかって聞かれた時に自信もって頑張ってるって答えられるかを大事にしてて」

イチローさんからもらった「ちゃんとやってよ」の言葉をプリントしたTシャツは、大仲さんの宝物だ。

イチロー効果もあってか、智弁和歌山は翌年夏の甲子園で優勝。メンバーのほとんどは社会人や関東、関西の強豪大学で野球を続けることを決めた。大仲にも強豪大学からオファーが届いたが、決心が揺らぐことはなかった。