認知症の疑いがある高齢患者の寄付が法廷闘争へと発展します。3億円の寄付をさせたのは無効だとして、遺族が金沢医科大学と当時の主治医を相手取り、2億4000万円余りの損害賠償を求める裁判を金沢地裁に起こしました。

渋谷弘利さんの長女・毛利貴和さん

澁谷弘利さんの長女・毛利貴和さん
「病院や主治医が患者の病状を利用して、著しく不当で多額の利益を図るというような悪辣な所業が容認されていいはずはない」

記者会見で憤りをあらわにしたのは、金沢市の大手機械メーカー「澁谷工業」の社長だった澁谷弘利さんの長女。

訴えによりますと、澁谷さんはおととし1月、金沢医科大学病院に入院し、これまで認知機能の低下が指摘されていたことから検査を受け、大脳の萎縮などが確認されました。その年の5月、澁谷さんは大学創立50周年の募金に応じる形で3億円を寄付し、10月に90歳で亡くなりました。遺族が高額な寄付を知ったのは澁谷さんの亡くなった後のことでした。

遺族は、「家族に確認することなく、認知機能の低下に乗じて非常識な金額を寄付させた」と主張し、金沢医科大学と当時の病院長で主治医だった男性に対し2億4000万円余りの賠償を求めています。

一方、金沢医科大学は「寄付は正当な手続きをして受け入れている。今後、訴状内容を確認してから対応したい」としています。

澁谷弘利さんの長女・毛利貴和さん
「今回の訴えの本意は、単に寄付金の返還を求めるものではなく、不正不当な所業を糾弾すべく、損害賠償の形で臨んでいることを理解いただきたい」

提訴を前に遺族は金沢医科大学に寄付金の返還について調停を申し立てましたが、大学側は「認知症であることの証明がない」として、返還に応じなかったということです。遺族は準詐欺の疑いで刑事告訴も検討しています。