富士山噴火の避難基本計画が3月、公表されました。溶岩流が到達する恐れがある範囲が大幅に広がり、静岡県内では新たに沼津市、清水町、静岡市清水区が追加されました。このうち沼津市は街なかに溶岩が流れた痕跡が少なく、避難計画をどうまとめるのか苦慮しています。

<楽寿園を訪れた家族連れ>
「富士山が噴火した時に溶岩が出て、ここまで来たってことだよ」
「熱いの?」「もう熱くない」「ぼっこぼこ」

三島市の「楽寿園」です。約1万年前の富士山噴火で流れ出た「三島溶岩流」がそのまま固まったものを見ることができます。

<金原一隆記者>
「三島まで流れ下った富士山の溶岩には特徴があります。比較的、粘り気が少なく、サラサラしていたのが分かります。流れるスピードが速かったことを示す『縄状溶岩』といいます」

富士山噴火で想定されている溶岩は、粘り気が少なくサラサラしているといいます。

富士山の溶岩流を知ることができる「ジオサイト」が三島市や長泉町などには点在しています。ただ、隣の沼津市にはこれと言ってありません。

富士山の噴火に備える静岡・山梨・神奈川の3県などでつくる防災対策協議会は3月、「避難基本計画」をまとめ公表しました。2004年のハザードマップと比較して溶岩流が到達する範囲が広がり、避難対象の人口は7倍以上に増えました。そして、以前は対象外だった沼津市、清水町、静岡市清水区も避難対象に加わったのです。

<静岡大学防災総合センター小山眞人・副センター長(協議会メンバー)>
「沼津に来るのは黄瀬川をたどってきます。中規模ですと、ほぼ黄瀬川の谷を降りてきて、平野に達すると少し横に広がる感じになりますので、そのコースをたどったら下の方で警戒する」

1万年前に起きた富士山噴火。三島の楽寿園にまで到達した溶岩流は、狩野川の支流・黄瀬川を下りました。冷えて止まった場所が隣の長泉町の観光名所「鮎壺の滝」となっています。

黄瀬川の溶岩流は沼津市の手前で止まりましたが、今回の想定では狩野川にまで到達する可能性があるのです。沼津市の担当者は、噴火からの避難を市民が理解し行動してもらうのは容易ではないと感じています。

<沼津市危機管理課 鈴木健文主任>
「火山防災に関してはイメージしにくい部分が多いと思いますので、だからこそどういった被害が起きるのかということを最大限周知していく必要があると思います」

3月示された「避難基本計画」は逃げ遅れゼロを目指して、各自治体が安全に避難できる計画を建てることを求めています。

<静岡大学防災総合センター小山眞人・副センター長>
「沼津は絶対に来ない高台がたくさんあるので、比較的(避難先は)考えやすい。黄瀬川か狩野川だけを警戒していればいい。避難計画を立てやすい」

<沼津市危機管理課 鈴木健文主任>
「どのタイミングでその被害が起き得るのかっていうところの見極めをして、地域特性をよく考えて避難計画を立てていくならいかないといけない部分ではないかなと思っています」

風水害や地震に比べて発生する確率が低い火山噴火。しかし、ひとたび起きれば影響は大きく、逃げ遅れゼロを実現できる計画を整えておく必要があります。

避難計画をまとめた協議会メンバーの小山教授は火山災害だけに特化するのはむしろ良くない。地震が起きた後や大雨・台風の時に噴火する可能性もあり、他の災害とバランスを取りながら考えていく必要があると強調しました。