県内の視聴者からこんな疑問が寄せられました。

「最近タクシー乗り場で乗れないことが多々ある…なぜ?」

タクシー業界で今何が起こっているのでしょうか。感染拡大を防ぐ行動制限も緩和され、再びにぎやかさを取り戻してきた繁華街を取材すると…。

記者「通町筋のタクシー乗り場では、仕事や飲み会帰りの人たちによるタクシーを待つ列が出来始めています」

バスや市電の運行本数が減り始める午後11時ごろから午前1時にかけて、タクシーを待つ列はピークを迎えます。

タクシーを待つ人「新幹線が11時17分終電なんですけど、間に合うかどうかという時に(タクシーがつかまらなくて)いつも困っています」

タクシーを待つ人「久しぶり飲みに来たんですけど、こんなに並んでいるんでびっくりして。昔はすぐ乗れたけど、今はこんなに待たないといけないなんて、初めてです」

中にはこんな人も…

列に並ぼうとする人「待ちますよね。(列が)長いなと思います。待つぐらいだったら歩いて帰ります」

「タクシーがつかまらない!」一体、何が起きているのでしょうか?

グループ全体で156台の車両を保有する熊本市の大手タクシー会社「旭タクシー」を訪ねました。

タクシー会社配車センター「今からですか?ちょっと20~30分かかりそうです」

客からの電話は鳴り続けますが、配車が間に合わず…以前は全て対応していた予約を断らざるを得ない状況です。

旭タクシー 小野さん「コロナの3年間で弊社だけではなく、熊本市内のタクシー全体で乗務員の数が減っています」

いまタクシーがつかまらない原因のひとつは「運転手不足」でした。

小野さん「乗務員さんは歩合制で仕事をしているので、緊急事態宣言とかまん延防止になってしまうとどうしても仕事がない」

長引くコロナ禍で2割ほどの運転手が辞めていきタクシー需要があるにもかかわらず、タクシーを走らせることができないといいます。

実際、県内のタクシー運転手の登録者数はコロナ禍前の2019年度は約5000人でしたが、2022年度は約4000人と1000人ほど減少していて、平日の昼間でも配車できないことが起きているといいます。

小野さん「(配車を)お断わりしながらも、目の前ではお得意様が電話かけているのがモニターに表示される、それもとれない。ジレンマです。皆さんにご迷惑をかけている」

一方で、運転手不足によってタクシー1台あたりの売り上げはバブル期以上に跳ね上がっていて、多い人では月に100万円以上稼ぐといいます。

しかし…人は集まりません。

小野さん「やっぱり条件がいい業種が多数あるんだと思います。なかなか来ていただけないというのが実情です」

他業種との人材確保の競争が激化していると嘆きます。

小野さん「しばらくは見通しが立たない。(先が見えないから)長いトンネルに入るんじゃないかと思っています」