2期8年間、「女性市議がゼロ」で注目された愛知県みよし市の市議会議員選挙では、出馬した新人の女性5人全員が当選を果たしました。

(寺本弘子さん)
「市政に、お母さんたちの希望、お母さんたちのお困りの声を届けてまいります」

愛知県みよし市議選に初めて出馬した寺本弘子さん(47)。

普段は、薬剤師として調剤薬局などで働いていますが、子育て世帯の声を政治に届けたいと出馬を決意、有給休暇を使っての選挙戦です。

事務所には多くの女性の姿が。
「(寺本さんとは)小学校のママ友です」
「うちは中学生の娘も一緒でママ友です」

初めての選挙戦を支えるのは多くの「ママ友」たち。
寺本さん自身も小学生と中学生の娘2人を育てる現役ママです。

(寺本弘子さん)
「お母さんたちのサポートがすごく心強い。皆さん自主的に手伝ってくれている。(ママ友は)30人くらい」

とは言え「ママ友」たちも初めてのことばかりで…。

「寺本弘子、寺本弘子、どうぞよろしくお願いします」
「あ、腕章忘れた。腕章!」

寺本さんは出馬した一番の理由を、こう話します。

(寺本弘子さん)
「子育てしている、お母さんじゃないとわからない悩みなどを私が届けていく」

みよし市議会は、これまで8年間、女性議員がゼロで、立候補する人もいませんでしたが、男性ばかりの議会に一石を投じたいと新人の女性5人が立候補したのです。

(寺本弘子さん)
「戦いだが女性がたくさん当選してほしい。女性目線で市政にいろんな意見や、お母さんたちの声を届けたい」

子育て世帯や女性の声を市政に反映させたい。
寺本さんは、その一心で有権者に訴えかけます。

(寺本弘子さん)
「(紙に書いた)正の字は街頭演説の回数。できるだけたくさん、皆さんに話や政策を聞いてもらいたいという思いで、自分にノルマを課している」

この日、事務所に戻ったのは、わずか10分。

(寺本弘子さん)
「1人でも多くの人に会いたいので、私がここで休んでいると市民の人にお話ができなくなる」

やっと1日が終わったかと思いきや、次に向かう先は…。

(寺本弘子さん)
「娘を迎えに行ってきます。友達の家で預かってもらっていたので」

選挙活動を終えた午後8時以降は母親の顔に戻ります。

(ママ友)
「私も仕事をしてるので疲れてしまうこともあるが、誰よりも頑張っている姿を見ると応援したいなと」

一番近くで応援している家族たちは?

(寺本さんの次女)
「全然寝ていないので選挙を頑張りながら、もう少し健康に過ごしてほしい」
(寺本さんの夫)
「頑張ってはいるが疲れも出ているので、なんとかケアして気持ちの部分を支えられたら」

そして迎えた投開票日、事務所には続々とママ友たちの姿が、開票速報を見守ります…。
1841票を獲得し、2番手で当選。

(寺本さんの次女)「当選おめでとう」
(寺本弘子さん)「ありがとう。さみしい思いさせてばかりで、ごめんね」
(寺本さんの夫)「ずっと支えていきますんでね」
(寺本弘子さん)「家族の理解と周りのお母さんたちのパワーで、元気をもらいながら最後の最後まで頑張れました。女性の生の声、要望、希望、困っていることを。しっかりと議会に伝えて、より暮らしやすく子育てのしやすい町にしたい」