改正道路交通法が13日施行され、75歳以上のドライバーは免許更新の制度が変わります。過去3年間で一定の違反行為があった人は、運転技術の試験が義務化されることになりました。改正の背景を取材しました。

青森市の自動車教習所、マツダドライビングスクールです。制度改正が始まる前の11日、75歳以上のドライバーが免許を更新するために受けた高齢者講習の様子です。指導員が助手席に座り、運転のアドバイスをしていました。
※(一時停止せず右折)「(指導員)ストップ。バックしてもらっていいですか?標識なんて書いてある?(ドライバー)止まれ。」

これまでは、運転のアドバイスをうければ免許を更新できましたが、13日からは、一部の人には、運転技術が試験されるようになりました。
対象となるのは、過去3年間にスピード違反信号無視、逆走など違反行為11種類のうち1つでもあった75歳以上の人で、実車試験を受けて、100点満点のうち70点未満ならば免許を更新できません。
試験を受ける必要があるかは免許更新の案内通知に書かれていて有効期限の6か月前から何度でも受験できます。

※青森県警運転免許課 渡邊清警視
「より安全に事故がないように運転していただくための対策になるので、自身の運転の状況をよく見直していただければなと考えます」

こうした制度改正の背景には、2019年に東京・池袋で起きた高齢者ドライバーによる乗用車の暴走がありました。2人が死亡、9人が重軽傷を負っていて、その後も高齢者ドライバーの事故が相次いでいることから国は対策の強化に乗り出しています。

※78歳のドライバー
「仕方ない。必要でしょうね。うっかりの交通違反がよくある。それが事故につながるので」

高齢者ドライバーへの対策は、県内でも重要性を増しています。去年、県内で運転免許を持っている人は84万7338人、このうち、75歳以上の人は5万7146人で率にして7.7%です。
この人数は、県全体では5年前よりおよそ2万5000人減った一方で、75歳以上の人は6300人以上増えました。

※78歳のドライバー
「アルバイトをしていますから、毎日車を運転しています。何をするにも車。いまは。」
※75歳のドライバー
「(車で)仕事場の行き来をしています。出発してすぐ着く生活だったので、いまそれをゼロにすることはできない」

高齢者にとっても、生活に欠かせない自動車。安全に乗るためには、教習所では、加齢に伴う運動機能や判断力などの衰えに向き合い、より注意する必要があるとしています。
※マツダドライビングスクール青森 伊藤勝彦技能検定員
「個人差はありますが、高齢になっていくと、どうしても自分のオリジナルで運転されてしまうので、家族も遠くいくのであれば『かわりに乗せていくよ』とアドバイスをしてもらえればより事故は減ると思います」
今回の制度改正をきっかけにどうすれば高齢ドライバーがより安全に、安心して運転できるのかを私たち一人一人が考える時期にさしかかっているのかもしれません。
