中国では海外作品に規制をかけるも…ネット配信の人気トップ5に日本の3作品がランクイン

でも中国では基本的に、海外作品の上映数は年間で約60~130本に限られています。
2021年の実績でいうと、日本の映画で認められたのは年間だいたい6本で、それくらい厳しい規制です。そして海外アニメをテレビ放送するとしても、ゴールデン帯近くの一番いい時間帯(午後5~9時)はNG。2015年には、中国当局が「進撃の巨人」など38作品を取り締まり対象に入れました。「民衆蜂起などにつながると困る」ということで、ストーリーにも規制をしています。

ですが中国国内で日本のアニメや漫画の人気は高まっており、需要に合わせてどんどん広がってきています。インターネットがありますので、いくら規制をかけても効きません。

ネット配信でも日本アニメが続々配信されています。
動画配信サイト「bilibili」の資料によると、2022年度の人気新作アニメランキングを見ると、1位と3位は中国アニメですが、2位は「SPY×FAMILY」、4位は「鬼滅の刃」、そして5位は「王様ランキング」。トップ5に日本アニメが3つ入っています。

拓殖大学・海外事情研究所の富坂聰教授は「海賊版が横行していた時代から日本アニメは若い世代に絶大な人気があった。中国アニメの成長もあり、市場規模は拡大の一途。相対的に今、ハリウッドの力が少しなくなってきているといわれていますので、日本アニメの需要が世界で高まっていくのは間違いない」という分析です。

ホラン千秋キャスター:
映画館だけでなく動画配信サービスなどもたくさんあり、国境は関係なく、いろいろな国や地域の作品を楽しめる時代になりました。そこから「あっ、この国のこういうものが面白いんだ」とファンが広がって増えていくことは普通にありますし、日本のものが愛されてると聞くと嬉しいですね。

田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者:
(アニメや漫画は)他国の違いを知ることもできるし、「人間としての共通項ってこれなのかな」とか考えることも可能です。井上雄彦先生のどの漫画もそうですけれど、例えばスラムダンクには単に楽しい、興奮する場面だけでなく、“本質”が入っています。バスケットやスポーツが好きなだけじゃない、スポーツに興味のない方でも「そもそも自分って誰なんだ」とか「諦めるってどういう意味なんだ」とか考えさせられます。そういうストーリーだと世界共通でウケて、共感されるところがあるのかなと思います。