世界陸上ブダペストは「確実に入賞を。そしてメダルを意識して」

今大会の優勝と派遣設定記録突破で、35km競歩での代表が内定した。岡田は「確実に入賞することを目標に、メダルも意識して準備していきます」とブダペストでの目標を口にした。

岡田選手と夫の森岡コーチ

だが20km競歩への出場の可能性も、ないわけではない。20km競歩レースへの出場予定はないので標準記録は突破できないが、世界ランキングで出場資格を得る道筋が残っている。何より今回の取り組みが35km競歩だけでなく、20km競歩にも生きると岡田陣営は感じている。

「ここ数年の終盤の失速を食い止め、さらにペースアップを狙ったとき、もう一度土台を作り直すことを考えました」と森岡コーチ。持久的なトレーニングを以前に増して行い、「さらにスピードを乗せていく」ことをテーマにトレーニングを行った。

しかし前述のように、輪島で100%を期したわけではなかった。想定の範囲で最高の結果が出ても、さらに伸びていくことを意図した練習だった。

「35km競歩選手になるとか、20km競歩選手になるとか、(パリ五輪で行われる競歩リレーで1人が歩く)10km2本の選手になるというものではなく、競歩選手としての土台を作る取り組みでした」

岡田も2月の日本選手権20km競歩後に「姿勢の改善やフォームのチェックを、よりしっかりと行った」と話した。その取り組みはスピードの高い動きの中より、スピードを少し落とした動きの中の方が明確に行うことができた。

「落ち着いて歩くことができるのが、35km競歩の良いところ。私にとって大きく前進していける取り組みだったと思います」

昨年の世界陸上オレゴンの7位記録は2時間44分28秒だが、6位は2時間42分45秒と岡田が今回出した日本記録より1分半近く速い。銅メダルは2時間40分37秒とさらに上のレベルだ。
しかし慎重な設定をする岡田が、「確実に入賞を目標に、メダルも意識して」と話した。それだけのノビシロを、初の35km競歩挑戦の中で感じ取っていた。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)