チャットGPTはインテリジェンスのコモディティ化。世界を一変し得る「インターネット以上の革命」

チャットGPTとはどのようなものか。対話型AIと言われるチャットGPTは、人と会話しているようなスムーズなやり取りができるだけでなく、会話を重ねることで必要な情報を的確に得ることができる。さらに質問者の年齢や環境を入力することで、その相手に応じた答えを提示してくれる。こうしたやり取りを重ねることでチャットGPT自身が学習し、データをどんどん蓄積していくということだ。

――これまでと何が違うのか。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:
世界中のデータをネットなどで吸い上げてAI解析することで新しい絵や動画、文章のようなものをAIが生み出します。これらの総称を生成系AIと言います。その中で対話型というのがあり、やり取りをしながら検索が進んでいくのが特徴です。これはLLM、大規模言語モデルというのですが、世界中のありとあらゆる言語情報を吸い上げて言語の出力をします。チャットGPTはその1種類で、出力をする時に我々人間と対話をする形で出力すると。そこがさらに特徴的だということです。

――対話型生成AIのオープンAI社の商品が「チャットGPT」。今アメリカのいわゆるIT巨人たちはみんな生成IAに入ってきている。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:
このLLMという言語系はやっているプレイヤーは多くなかったのですが、それなりにはいた。グーグルやアマゾンもやっています。オープンAIはマイクロソフトと提携しているのですが、新しい会社なので不完全でも出してしまったのです。それが思ったよりもとんでもないものができたので、世界中がびっくりして、今大手が追随しようとしているということです。

――グーグルやヤフーなどの検索機能と対話型が違うのは、早い速度で最も近いものをどんどん出してきてくれるというところにある。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:
もう一つは、対話ができるというのが重要で、グーグルなどがやっている検索も本来目指しているのはこっち、チャットGPTなのです。例えば今、我々は何か聞きたい時には単語を入れます。例えば「フレンチレストラン 東京」。本当は「今晩彼女とデートして赤坂あたりでおいしいフレンチ食べたいんだけど、予算が、このくらいでこういう雰囲気だったらどうかな」と聞きたいわけです。それを聞けるということです。チャットGPTは、さまざまな情報をある程度整理分析して人間がわかりやすい言語で伝えてくれる。言葉でやってくれるのが革命的で、インターネット以来の革命と言われていますが、個人的にはインターネット以上の革命になり得ると思います。本当に世界を一変し得るぐらいの強大なインパクトを持っている可能性が結構ある。

――インターネットそのものが、産業革命に匹敵するぐらいの情報革命だと思っていたが、それは序の口で、情報革命の本丸がこの世界だということか。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:
まさに情報革命と今おっしゃいましたが、ITはインフォメーションテクノロジーで情報をコモディティ化(汎用品化)しました。情報も誰でも手に入るようにしたと。チャットGPTはインテリジェンスをコモディティ化するのだと思います。インテリジェンスというのは、さまざまな情報をかき集めて整理して判断して、分かりやすいようにまとめて自然な言語で人に伝える。これは我々が結構仕事で普段やっていることで、私の仕事の7、8割は学者ですから、世界中のさまざまな情報を手に入れて整理して文章にしたり表にしたりするわけです。これを全部数秒でやってくれるわけです。