「世界最悪の人道危機」と呼ばれるイエメンの内戦をめぐり、対立している暫定政府側と反政府武装組織との間で大規模な捕虜交換が行われました。内戦終結に向けた道筋を実現させられるかが大きな焦点となっています。

2015年から続くイエメン内戦は、サウジアラビアとイランによる代理戦争の構図となっています。

サウジアラビア主導の連合軍が支援する暫定政府側と、イランの支援を受けるイスラム教・シーア派の反政府武装組織「フーシ派」との間で泥沼の内戦が続いています。

国連によりますと、これまでに40万人近くが死亡したほか、ロシアのウクライナ侵攻による深刻な食糧不足で数百万人が飢餓の危機に見舞われるなどしていて、イエメン内戦は「世界最悪の人道危機」と言われてきました。

こうしたなか、ICRC=赤十字国際委員会の仲介で、14日から17日にかけ暫定政府側とフーシ派との間で大規模な捕虜交換が実現しました。

AP通信などによりますと、解放されたおよそ900人の中には暫定政府側の要人も含まれていて、長期的な停戦や内戦終結に向け、大きな一歩になる可能性があります。

外交面では隣国・オマーンの積極的な仲介で、サウジアラビア側とイランが支援するフーシ派側が和平についての協議を開始。これに先立ち先月には中国の仲介でサウジアラビアとイランが国交正常化に合意しました。

双方の関係が正常化すれば、イエメンの和平に向けた大きな障壁が取り払われることになります。

関係国が内戦終結に向けた道筋を実現させられるかが今後の大きな焦点となります。