政府は北朝鮮が発射したミサイルが「北海道周辺に落下する可能性がある」として、Jアラートを出しました。しかし、その後「落下の可能性がなくなった」と“訂正”されました。一体、なにが起こっていたのでしょうか?

4月13日午前8時頃、北海道・函館市で突然、鳴り響いた警報音。

札幌市内の鉄道は一時運転を見合わせました。

20代
「(Jアラートが出たとき)通学中で電車に乗っていました。みんな動くことなく、『どうしよう、どうしよう』みたいな」

40代
「寝ている息子を担いで、夫を足で起こし洗面所に逃げました。夫は『またか』という感じで『大丈夫だよ』とのんびりだった」

防衛省などによりますと、北朝鮮は午前7時22分ごろ、平壌付近から少なくとも1発のICBM級弾道ミサイルの可能性があるものを発射しました。

その30分後の午前7時55分、“北海道周辺に落下するものとみられる”とするJアラートが出されました。

しかし・・・

浜田靖一防衛大臣
「発射された弾道ミサイルは、我が国領域内へは落下していないことを確認をいたしました」

Jアラートについても、午前8時15分ごろ“落下の可能性がなくなった”と事実上、訂正されました。

この時、一体なにが起こっていたのか。Jアラートは、高さ、速度、方向などを総合的に勘案し発出するかどうかが決められます。

今回の場合、日本に落下する条件を一時は満たしたため、「可能性」として発出されたのです。日本の領域内に落下予測が発信されたのは今回が初めてのことです。

松野博一官房長官(13日午前11時ごろ)
「探知の直後、この北海道周辺に落下する可能性のあるものは、レーダーから消失していましたが、国民の安全を最優先する観点から、Jアラートを発出したものであります」

また今回、「固体燃料」を使用した新型のICBMの可能性があると防衛省は分析しています。新型の固体燃料ミサイルは、これまでのミサイルよりも上昇速度が速いと指摘されています。

防衛省は、高度が高かったため、レーダーでの追跡が難しい状態にあったとしています。

一方で、与党内から今回のような“発出の仕方”については、懸念の声も上がっているといいます。

石破茂元防衛大臣(13日午後5時半すぎ)
「Jアラートが発出される、でも着弾しなかったことになれば、しなくてよかったんだけれども、国民がこのシステムに対する信頼を失うことが怖いですね」

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏
「Jアラートが頻発することによって、国民の意識も慣れてしまうという、色々な問題点が浮き彫りになってきているので、いろんな角度から見直しをする必要があるという声が(政府内から)出ています」

今回のミサイル発射などを受けて、航空自衛隊とアメリカ軍の戦闘機が、13日、日本海の上空で戦術訓練を行いました。

防衛省は、今回の訓練について「あらゆる事態に対処する日米の強い意思と、自衛隊とアメリカ軍の即応態勢を確認した」としています。