
それでは今回対局する菅井八段については、どんな印象を持っているのか、こんなことを話しています。
「鋭い攻めの技術と力強い受けの技術を兼ね備えている印象」、つまり攻めも受けも強いぞということなんですね。
また「普段から将棋に対して非常にストイックに取り組まれている方」と評しています。自分と近いタイプかなと思っているのかもしれませんね。

菅井さんは今30歳で八段です。最高位は九段ですから、30歳の棋士の中でも非常に強い方なんですね。
もしも藤井さんが現れていなかったら、菅井さんはいくつもタイトルを持っていてもおかしくないぐらい、それぐらいの実力者だと思います。

どれだけ実力があるかというのは、実はこのデータを見ていただければわかります。
藤井六冠と菅井八段、この2人はいい戦いをしている。
藤井六冠のタイトル獲得は13期です、期というのはタイトル戦に挑戦してタイトルを獲得したり、もしくは防衛したりした回数なんですけども、13期負けなしです。

一方の菅井八段は1期、王位のタイトルを獲得したこともありました。
昨年度の勝率を見てみますと、藤井六冠は53勝11敗、勝率8割2分8厘なんですが、タイトル戦が多い中で、挑戦してくる人は強いですから、その中で8割2分8厘というのは、これは驚異的な強さなんです。

そして、昨年度の菅井八段の勝率は6割2分5厘、25勝15敗となっています。
注目すべきは過去の対戦成績で、2人は8回戦っているんですけども、藤井六冠からすると5勝3敗、勝率は6割2分5厘ですから、平均勝率と比べると低い数字に。
それだけ菅井八段を苦手としている節もあります。

そこで、きょうの「大石の視点」はこちらです。
「杉本師匠が対策を伝授か」ということなんですね。
実は杉本師匠は3月に別のタイトル戦の二次予選で菅井八段を破っているんです。
普段は「教えることは何もない」というふうにおっしゃっていますが、今回こそはですね、もしかしたら菅井対策を藤井さんに伝授している可能性があるんじゃないかと思います。