学校では新学期が始まりました。子どもたちが教室で1人1台ずつタブレット端末を持つのは、当たり前の風景になってきました。その一方で同時に課題も見えてきています。

課題(1)
小学校でも“プログラミング”
誰が教える?

東京・文京区の小学校では、子どもたちがパズルのような画面を夢中で操作しています。

「(Q.これは何をしているの?)スクラッチで紙芝居にして、言葉を言わせながら、浅草の調べたことを発表する」

「スクラッチ」と呼ばれるプログラミングソフトを使って、社会科の発表の準備をしています。教壇に立つのは担任の先生ではなく、NPOのスタッフです。

プログラミング教育研究所 伊藤功一理事長
「プログラミングみたいなものは、学校としても後回しになりがちな分野。教育委員会とも話しながら学校のお手伝いを」

政府が4年前から推進してきた「GIGAスクール構想」によって、端末は全員に1台ずつ配られるようになりましたが、その活用方法は現場任せ。頭を悩ませているといいます。

文京区立駒本小学校 篠遠信行校長
「専門的な見地からのいろいろと支援をしていただくことが必要かと」

こちらの学校ではNPOに依頼し、普段の教科でプログラミングを使って学んでいます。

キャラクターにしゃべらせるなどの動きはすべてプログラミング。授業を見守っていた担任の先生は…

担任の先生
「みんな喜んで取り組んでくれているのが、一番いいなと。子どもの時からというのが、すごく吸収力があるので」

小学校でプログラミングは教科にはなっていませんが、国語や社会といった教科の中で触れることが目標とされています。伊藤さんは学校ごとに大きな差が生まれつつあると言います。

プログラミング教育研究所 伊藤功一理事長
「諸外国に追いつくためにプログラム教育とか打ち出していると思うが、ほとんどやっていないところの方が多い」

課題はさらに…

課題(2)
いきなりソフトを利用停止
「ゲーム」への対応は?

伊藤さんたちが開いているプログラミング教室。使っているのは学校で配られた端末です。教育環境はどんどん整っていますが、こんな声も…

「(プログラミング)学校だとやっちゃいけない。そもそも使わない」

中には、「スクラッチ」をはじめとしたプログラミングソフトを使用禁止にしている学校があるというのです。

東京・北区の教育委員会によると、複数の学校から「スクラッチでゲームができてしまうので、利用を停止したい」との声が上がったことへの対応だといいます。違う対応の仕方はないのでしょうか?

伊藤さんのプログラミング教室ではスクラッチを改良し、他人が作ったゲームなどで遊べないように工夫しているといいます。

プログラミング教育研究所 伊藤功一理事長
「風通しの良い世の中にならないと、日本はIT後進国を抜け出すことができない。(プログラミングをやることで)自分自身の頭で考えていく。それが今一番子どもにとって必要なことではないかと」