初の女子野球に挑む監督の秘めた思い、そして強豪校との試合に挑む選手の姿にカメラが密着しました。
山形県内の高校“初”の女子野球部

惺山高校女子野球部 鈴木剛監督
「ボールの感覚をしっかり感じること。きょうからスタート」
先月、山形市の惺山高校で、県内の高校で初となる女子硬式野球部が誕生しました。
部員は、県内各地、遠くは神奈川県から入学した1年生9人での船出です。
先月24日。初めての練習から2週間が過ぎました。

惺山高校女子野球部
五十公野ヒカルさん 佐藤向日葵さん
「(練習は)めっちゃ明るくて幸せです」

坂口音羽さん 長谷川雪乃さん
「部活が学校に行くようになってから楽しみになりました」
Q・早く夕方になれという感じ?
「はい」「思います」「思うよね、最近」
この日は、男子野球部の力を借りての練習です。
バッターボックスに立つ坂口さん。男子のボールの速度に思わず…。
坂口音羽さん「マジこわい」
鈴木剛監督「大丈夫だって」
この日の2週間後に試合を控えていた惺山高校。
東北の高校の女子硬式野球部7校と社会人を含む女子のクラブチーム3チームが参加し今年新たに発足した「東北リーグ」の初戦です。
創部からわずか1か月で、初めての公式試合に挑みます。

「笑顔を絶やさずやりたい。欲を言えば同じ女子高校野球のチームにまず1勝したい」
女子野球部の監督が胸に秘める「作り上げていきたい」
この春、酒田南高校男子野球部の監督から転身した鈴木剛監督。授業では商業を担当しています。
鈴木剛監督
「(授業も野球も)常に考えてという状況ではありますが、楽しいことの方が今は多い」
現在40歳の鈴木監督。どんな思いで新たな挑戦を選んだのでしょうか。
鈴木剛監督
「(自分は)男子の高校野球という部分で舞台が整っていて甲子園という目標があってというところで、歴史のある中でやってきた人間。
ただこれから彼女らがやることは彼女らが正解になる可能性もあれば間違いになる可能性もありますし、いろんなことに挑戦しながら『女子野球ってこうだよね』というものを作りあげていけたらいいと思っています」
初の公式試合
そして迎えた、初めてのリーグ戦。初戦の相手は宮城県のクラーク記念国際高校仙台キャンパス。
去年8月の全国大会でベスト8となった実力校です。
部員の数は1年生から3年生まで33人と選手層で惺山を大きく上回ります。

惺山高校女子野球部 川崎美優さん
「ドキドキしています。強いチームというのが見てわかる印象」
鈴木監督が選手に呼びかけます。
鈴木剛監督
「ご覧の通りで向こうは野球に慣れていて。きょうはとりあえずしっかり勉強すること」
鈴木剛監督
「技術ではなかなか勝てない部分があると思うので、 立ち振る舞いや高校野球の雰囲気、そういうものを感じて(試合を)やってもらえれば」

円陣を組み気合を入れた後、クラークの先攻で試合開始。
惺山の先発は川崎美優さんです。
緊張で力んだのか、川崎さん、
先頭打者をフォアボールで出塁させてしまうと、
続く2番打者には初ヒットを許してしまいます。
その後も、地力に勝るクラークを抑えることは難しく、初回で2点を失ってしまいます。
しかし、その裏の惺山の攻撃。
ワンアウト満塁のチャンスにバッターは5番長谷川さん。
惜しくもゲッツー。得点できず。
9人で試合に臨む惺山はその後、ポジションを入れ替えながら
試合を進めますが、クラークの猛攻を受けてしまいます。
鈴木剛監督
「雪乃打たれるのはオッケーだよ」
長谷川さんの母 ちかさん 坂口さんの母 桂さん
「もうちょっと皆で声を出してがんばってほしいけれど
元気がない」
全国ベスト8の強豪校を前に、結果は5回コールド、0対40。
惺山の完封負けです。

惺山高校女子野球部 坂口音羽さん 戸田陽菜さん
「練習が必要だね。がんばろうね」
川崎美優さん
「どんどん試合が入ってくるので1試合1試合しっかり経験を積んでいいチームを作っていけるようにがんばりたい」
鈴木監督が部員に呼びかけます。
鈴木剛監督
「下を向きだしたらきりがないからな」
鈴木剛監督
「(選手たちに)準備という準備もさせてあげられなかった。
ただもっと伸びしろだったり可能性があると気付けたのでしっかり課題と毎日向き合いながらやっていきたい」
新たな経験を積んだ部員たち。初勝利へ練習は続きます。
