最も重い症状の患者が運ばれてくるICU=集中治療室。今回、川崎市の聖マリアンナ医大病院に新しくできた“子ども専用のICU”を取材しました。中には、コロナに感染した重症の子どもの患者も…
“最重症の子ども”の命救う「小児専用ICU」

川崎市にある聖マリアンナ医大病院。新たにできた「小児専用のICU」は最重症の子どもの命を救う“最後の砦”です。
ベッドにうずくまるのは5歳の女の子。公園の遊具から落ちて頭を打ち、頭蓋骨の内部に出血を起こしていました。

女の子の母親
「すごくぐったりしていて、何度も、もどしてまっていて。もしかしたらもう二度と起きないんじゃないかなという不安で…昨日は一晩すごく心配していた状態でした」

生後すぐに肝臓の手術を受けた男の子も。小さな体には、人工呼吸器や心電図など無数の管がつながれています。看護師の藤田さんは…
聖マリアンナ医大病院・小児専用ICU 藤田茉莉花 看護師
「寝ていても声は聞こえている。アラームが鳴ったりするのは、その子が何かしら訴えているのではないかと思って、どうしたという意味で『はーい』と返事をしています」
この病院の小児専用ICUでは、医師7人と看護師17人が365日、24時間体制で治療に当たっています。小児科と集中治療の専門知識が求められるため、全国的に数が限られていて常に満床に近い状態です。
「さすってもさすっても冷たくて…」コロナで子どもが心肺停止に

取材当時、感染症に対応する特別な病室にいたのは小学1年生の女の子。1月にコロナに感染し、一時心肺停止の状態に陥りました。

コロナで重症化した女の子の母親
「近くのクリニックの先生に診てもらおうと車で行ったのですが、そこで急に白目むいて泡を吹き出す感じになって、心肺停止になって…。顔色が全然違っていて、手足もすごく冷たくて…さすってもさすっても、冷たくて…」
心肺蘇生の処置が施され、女の子は一命を取り留めました。しかしその心臓は、深刻なダメージを受けていました。
聖マリアンナ医大病院・小児専用ICU 長田洋資 医師
「心臓の機能が非常に悪かった。コロナ感染症をきっかけに心臓に炎症を起こして、心臓がむくんで、心臓の機能が非常に落ち込んだ」

搬送直後に撮影された女の子の心臓のエコー画像をみると、健康な子どもの心臓と比べ、心臓の動きが極端に弱まっていました。しかし詳しい原因は分からず、治療を続けても心臓の機能はなかなか回復しませんでした。














