全国的にも大きな波紋を広げている備前市のマイナンバーカードに関する政策で新たな動きです。カード取得世帯に限り、給食費を無料とするといった市独自の政策でしたが、きょう(5日)、市長が会見を開き、カード取得の条件をなくし一律で給食費を無料にすると突然、方針を撤回しました。

(吉村武司備前市長)※吉の文字の上は「土」
「(給食費などの免除を)マイナンバーカード取得を要件としないよう制度を変更することといたしました」

撤回されたのは今月(4月)からマイナンバーカードを取得している世帯に限り小中学校の給食費などを免除するとした政策です。

この政策を巡っては、カード取得が半強制的に促されているとして市の内外から5万を超える署名が集まっていました。

先月23日、この政策に関連した条例が可決し、今月から施行されています。ところが、急きょ会見を開いた吉村市長。

先月29日に地方創生に関する国の臨時交付金の給付が決定し、給食費無料化の財源ができたとして、波紋を広げていたカード取得の条件を撤回すると発表したのです。

(吉村武司備前市長)「個々の市民の皆さんがどのような思いで。例えば、インセンティブ(動機づけ・報酬)を考えて取った方もおるでしょう。それは分かりませんが『強制したことは一切ない』」

(スタジオ)
ここでマイナカード取得を巡る備前市の政策について、改めて振り返りたいと思います。この政策は、市が独自で行ってきた・小中学校の給食費・保育園やこども園の保育料無償化などの子育て支援を備前市が今年度からマイナンバーカードを取得した世帯に限るとしたもので本来、任意であるカード取得を半強制的に促し、行政サービスの格差に繋がると反対の声が上がっていました。

記者会見では、撤回はしたものの行政サービスに格差を生む手法ではないかと質問が飛びました。これに対し市長は、独自政策の財源に交付金などを充てるため、様々な努力を行っているだけだと反論しました。

(記者)「同じ備前市に住んでいてもかかるお金・市から受けられるサービスに大きな差が生まれると思うんです。持たない人の生活をどう保障するのか」

(吉村武司備前市長)「もともと格差があるような政策を私はしようと思っていません。良かれと思ってみんなで考えてやっておるので。そういう風な金銭的な格差を、一つの制度設計をしたら生まれる。だからそこはおかしいというのは、あなたがおかしいですよ」

(記者)「市民の方々からの反対の声が多かったとか。反対署名が提出されたことは影響したか」
(吉村武司備前市長)「まったくありません」

まさに急転直下の条件撤回に備前市民からは…

(備前市民)「国の補助金を受けたから撤回するというのはちょっと。やはり『お金目当てだったのかな』と正直思いました。市民の意見を聞いたというわけでなく、『お金で判断した』というところにちょっと憤りを感じます」

(備前市民)「みんな、ほうぼうの人が『吉村市長は強引だ』『マイナンバーカードを作らそうとしている』と言っていたけど」

今回、マイナンバーカードの取得条件が撤回されたのは、小中学校の給食費や学用品代保育園やこども園の給食費・教材費など6つの項目です。保護者に混乱をきたさないため学校関係者を通じ早急に変更を通達したということです。