石橋を叩きながら宇宙遊覧の価格破壊目指す。将来的には100万円台も可能か
宇宙服の他に特別な訓練なども必要ないという岩谷技研の宇宙遊覧旅行。気球は空気より軽く燃えないヘリウムガスを使用しているが、仮に事故などでガスが全て失われても墜落しない構造になっているという。
――素人考えだとカプセルが落ちてきたりしないのかと思ってしまうが。

岩谷技研 岩谷圭介社長:
仮に全てのヘリウムガスがなくなってしまっても気球自体が大きなパラシュートになるようになっています。すごく大きな排気口が下についていて、全部空気が上がってくるのです。巨大なパラシュートと同じ役割を果たしてくれるので。
さらに気球の構造にも秘密がある。
――耐久性という意味で何か特別なものがあるのか。
岩谷技研 岩谷圭介社長:
分かりにくいのですが、気球には一応骨があるのです。柔らかい骨組みがありまして、これもプラスチックなのですが、今のプラスチックはとてつもなく丈夫で、ピアノ線の10倍強度があるものを使っています。重量は10分の1、強度は10倍なので、質量あたりだと100倍丈夫です。
誤差数キロの範囲で着地地点を予測することが可能で、これまでの300回を超える実験でも想定外の場所に着地したことはなく、風で陸から遠く離れた海に流される心配もないということだ。
――5年前には宇宙遊覧の価格破壊ということで、最終的には1人300万円ぐらいで行けるようにしたいと。この目標は今も変わっていないのか。
岩谷技研 岩谷圭介社長:
300万は十分実現できると思っていまして、最大限どこまで下げられるか見積ってみたのですが、100万円台くらいまでいけるのかなと思っています。190万とか180万円になってしまうのですが、最大そこまではいけるのではないかなと思っています。
――それくらいまで下がってくると豪華な海外旅行やクルーズ旅行と競争できる。大型化が一番のカギなのか。
岩谷技研 岩谷圭介社長:
そうです。キャビンを大型化しないといけません。
――たくさんの人が乗れば一人当たりが安くなる。
岩谷技研 岩谷圭介社長:
将来的には気球の再利用も可能かもしれませんし、キャビンは間違いなく再利用できます。コストはどんどん下げることができます。
――一番身近になった宇宙遊覧のイメージは?
岩谷技研 岩谷圭介社長:
家族で誰でも行けるよというようなところまで私たちは作るつもりですし、価格帯も今よりもずっとグーッと落ちると思うので、本当に手軽に行けますよ、宇宙はすぐ簡単に見に行けますよというふうにしたいです。
――一番気をつけていることは何か。
岩谷技研 岩谷圭介社長:
焦らないことがすごく大事だと思っています。真空状態、宇宙と同じ環境なのですが、そこで人が生きられますか、それを作れますかと言ったら絶対作れるのです。ここで焦って何の対策もなしに一気にやってしまうと大きな問題が発生しますから、それをやらない。慎重に石橋を叩いて渡りましょうということをやり通す。そこに時間がかかってしまっても構わないと思っているので。

岩谷技研が開発している気球は成層圏で2万5000mまで上がる。宇宙空間は8万m以上ということなので、厳密には宇宙空間ではない。

ただ、成層圏まで行くと地球の円弧が見えるということで、宇宙遊覧と言って問題ないというのが岩谷社長の見解だった。

今、世界で宇宙旅行を実施しているところはたくさんあるが、何千万円もする。ロケットなので宇宙空間まで上がるが、滞在できるのは5分程度だ。気球の場合は成層圏なので1時間ぐらい滞在できるということで、それぞれ長所と短所がある。科学者の冷静な目を持つ岩谷社長は「一時の情熱ではなく、信念がないとできない」と話していた。宇宙遊覧の今後が楽しみだ。
(BS-TBS『Bizスクエア』 4月1日放送より)














